戦争前夜の日本で主人公が知ってしまった、恐ろしい国家機密とは? ベネツィア国際映画祭銀獅子賞『スパイの妻』。
今年のベネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した『スパイの妻』。これまでカンヌ国際映画祭を中心に国際的にも高い評価を受け、海外にも多くのファンを持つ黒沢清監督の最新作が公開されます。舞台となっているのは太平洋戦争前夜の日本。神戸で貿易会社を営む優作は、満州に赴いた際に恐ろしい国家機密を知り、それを世に知らしめようとします。満州から連れ帰った謎の女やノート、そしてフィルム。妻の聡子はスパイだと疑われる夫を信じ抜くことを決めますが……。
これまでホラー、ミステリー、SFなどさまざまなジャンル映画を撮ってきた黒沢清監督にとって、『スパイの妻』は、ハイカラな神戸の街を舞台にした初めての歴史もの。メロドラマやサスペンスの要素が織り込まれ、戦争の足音が聞こえる時代を舞台にしたことで、社会と個人の対立がくっきりと浮かび上がっています。夫が抱いている正義、愛する夫の覚悟を受け止めて立ち上がる妻の想い、そしてそれぞれへの愛情が交錯する物語は、最後の一瞬までミステリアスでドラマティック。
陰影豊かな光と影と音楽が、ときに不穏に、ときに美しく響き合い、観る者をこの世界の只中へと誘ってくれます。クラシカルな衣装がよく似合う蒼井優と高橋一生は、この時代の銀幕のスターのようなセリフ回しに挑み、ふたりのやりとりもまた先読みできない物語を劇的なものにしているのです。
優作がどんな企みをもっているのか探ろうとする前半から、聡子が夫を支えようと立ち上がる後半へ。優作は女スパイに扮した聡子を主人公に、映画撮影をする趣味ももっています。やがて運命を変える選択にそのフィルムが関わっていく展開に心ざわめき、“その先”の出来事にも胸を震わされる、愛と正義の物語です。
『スパイの妻』
監督/黒沢清
出演/蒼井優、高橋一生
2020年 日本映画 1時間55分
10月16日(金)より、新宿ピカデリーほかにて公開。
https://wos.bitters.co.jp/
今年のベネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した『スパイの妻』。これまでカンヌ国際映画祭を中心に国際的にも高い評価を受け、海外にも多くのファンを持つ黒沢清監督の最新作が公開されます。舞台となっているのは太平洋戦争前夜の日本。神戸で貿易会社を営む優作は、満州に赴いた際に恐ろしい国家機密を知り、それを世に知らしめようとします。満州から連れ帰った謎の女やノート、そしてフィルム。妻の聡子はスパイだと疑われる夫を信じ抜くことを決めますが……。
これまでホラー、ミステリー、SFなどさまざまなジャンル映画を撮ってきた黒沢清監督にとって、『スパイの妻』は、ハイカラな神戸の街を舞台にした初めての歴史もの。メロドラマやサスペンスの要素が織り込まれ、戦争の足音が聞こえる時代を舞台にしたことで、社会と個人の対立がくっきりと浮かび上がっています。夫が抱いている正義、愛する夫の覚悟を受け止めて立ち上がる妻の想い、そしてそれぞれへの愛情が交錯する物語は、最後の一瞬までミステリアスでドラマティック。
陰影豊かな光と影と音楽が、ときに不穏に、ときに美しく響き合い、観る者をこの世界の只中へと誘ってくれます。クラシカルな衣装がよく似合う蒼井優と高橋一生は、この時代の銀幕のスターのようなセリフ回しに挑み、ふたりのやりとりもまた先読みできない物語を劇的なものにしているのです。
優作がどんな企みをもっているのか探ろうとする前半から、聡子が夫を支えようと立ち上がる後半へ。優作は女スパイに扮した聡子を主人公に、映画撮影をする趣味ももっています。やがて運命を変える選択にそのフィルムが関わっていく展開に心ざわめき、“その先”の出来事にも胸を震わされる、愛と正義の物語です。
『スパイの妻』
監督/黒沢清
出演/蒼井優、高橋一生
2020年 日本映画 1時間55分
10月16日(金)より、新宿ピカデリーほかにて公開。
https://wos.bitters.co.jp/