美しい鉱物を愛でながら酒を飲む「鉱物Bar」で、幻想的なひと時を過ごし...

美しい鉱物を愛でながら酒を飲む「鉱物Bar」で、幻想的なひと時を過ごしてみませんか?

文:内山さつき

オリジナルライトボックスの上で輝く鉱物。会場には鉱物アソビ・フジイ キョウコさんがセレクトした、美しい鉱物標本が並びます。

地球の内部で長い時間をかけて生み出された、美しき鉱物。透きとおるように淡い水色や神秘的な青色、高貴な紫色など、その輝きや色合いは古くから人々を惹きつけてきました。また蛍石、天青石、魚眼石などイマジネーションをかきたてられる和名も、独特の美の世界を作り上げています。そんな魅惑の鉱物世界に浸りながら、鉱物をイメージしたオリジナルカクテルやお菓子を味わえる展覧会「鉱物Bar」が、西荻窪のギャラリーみずのそらで開かれています。今年で第10回目となる本展は、毎年夏の開催を心待ちにして地方から訪れるファンもいるほど人気のイベントです。

開催のきっかけは、2008年に出版された『鉱物アソビ』という一冊の本でした。編集者でライターでもある著者のフジイキョウコさんの、暮らしの中で鉱物の面白さをもっと味わってもらえたらという想いから生まれたこのビジュアルブックには、雑貨を集めるように、植物を楽しむように、鉱物を愛でるアイディアがたくさん提案されています。たとえば、アンティークの小箱や理科学用品と合わせて。たとえば、透き通った鉱物を菓子に見立てて、スプーンや皿に飾って。こうした独特の美しい世界観は、多くの人の憧れや共感を呼びました。そして、この『鉱物アソビ』の世界そのものを体験できる場として企画されたのが「鉱物Bar」でした。

「鉱物好きとしては、採集する、コレクションする、知識を増やすなどが王道だとは思いますが、従来の価値観とは別の“鉱物世界を愉しむ”ということを提案してみたくて」とフジイさん。特に、鉱物を菓子や星や花など身近なモノに見立てたり、内包物に自然の情景を見いだす「見立て」は、とても日本的な発想だと外国の鉱物コレクターや標本ディーラーたちも面白がってくれたといいます。「同じ鉱物種であっても産地が違えば、まったく異なる形や色をしているのが鉱物ならではの魅力。さらに、同じ鉱物標本であっても上から眺めたり、横から見たり、光に透かしてみたり、違った表情が次々現れて何通りにも楽しめる。動物や植物とは違って、鉱物は基本的に世話も必要ないし、放っておいても大丈夫。そんな無機質でクールな感じも好きなんです。地界という見えない世界でこんなに美しい造形のものが生まれるなんて、自然の不思議を感じます。鉱物Barが訪れた人と鉱物世界との出合いとなり、なにかの“始まりの場”となったら」。

これまで「鉱物画」「天体嗜好症」や「錬金術」など年ごとにテーマを決めて、鉱物のさまざまな魅力を伝えてきた鉱物Bar。今年のテーマは、過去10回分の集大成の意味も込めて「鉱物博覧会」と題しています。鉱物標本の展示スペースのほかBarコーナーでは、鉱物をイメージした鉱物アソビ考案のオリジナルカクテルも楽しめ、2017年版は「蛍石」と「天青石」がモチーフに。真夏の夜に輝く鉱物たちに囲まれて、幻想的なひと時を過ごしてみませんか?

ギャラリーいっぱいに鉱物標本や1880年代のアンテイーク鉱物画が並べられた展示会場の様子。

鉱物標本だけでなく、アンテイークボックスや古道具、作家に特注した「鉱物のためにあったらいいな」と思う小物も展示販売されている。

主宰の鉱物アソビ・フジイキョウコさんの著書。鉱物Bar開催のきっかけになった『鉱物アソビ』(スペースシャワーネットワーク )と鉱物アソビおすすめの鉱物を「見立て」を通して、その鉱物ならではの特徴や魅力を分かりやすく紹介した 『鉱物見タテ図鑑』(スペースシャワーネットワーク )。

入り口にはこれまでの鉱物BarのDMが飾られています。

鉱物Bar vol.10 produced by 鉱物アソビ 「鉱物博覧会」

開催期間:〜8月20日(日)
開催場所:GALLERY みずのそら
東京都杉並区西荻北5-25-2
開催時間:15時~21時(19、20日は〜20時)
休廊日:月、火曜日
会期中入場料無料
http://www.mizunosora.com/event.html

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