いよいよ2020年のグラミー賞が1月27日に発表となる。さまざまなアーティストのノミネーションが話題になる中で日本人として気になるのは、ジャズ作曲家の挾間美帆の最新作『ダンサー・イン・ノーホエア』が Best Large Jazz Ensemble(大規模ジャズ・アンサンブル)部門でノミネートされていることだ。これまでにも日本の音楽家がグラミー賞にノミネート、さらに受賞したことは少なくない。クラシックでは小澤征爾や内田光子が受賞している。しかし、ジャズやロックの受賞作は米国人他との共演作。もし彼女が受賞すれば、ポピュラー・ミュージックのジャンルで、かつ単独のオリジナル作として日本人初となる。
挾間は8年前のデビュー当時からジャズ界の急先鋒として高い評価を得てきたが、ここ数年はさらに注目度が高くなっている。その例として米国の有力紙『ニューヨーク・タイムズ』の「2019年のベスト・ジャズ」に最新作が選出されたのは記憶に新しいところ。活動の場も国際的になり、デンマーク国立放送ビッグバンドの首席指揮者に任命され、同バンドとは最近レコーディングも行ったとのこと。また数年前よりオランダのメトロポール・オーケストラ・ビッグバンドとも共演し、ジャズの伝説的ピアニスト、セロニアス・モンクのトリビュート作をリリースしている。このアルバムではアレンジを担当、指揮台でタクトを振っているのも彼女だ。クラシック音楽を学ぶために音楽大学に通っていた彼女が、ジャズに興味をもったのはキャンパス内で大学のビッグバンド、ニュータイド・オーケストラの演奏を耳にしたのがきっかけ。2012年のデビュー以降の活躍は破竹の勢いで、まだ8年目であるのに活動歴は書き切れないほどだ。そして今回のグラミー賞のノミネーショーンである。これは、ここ数年の活動の最も大きな花になることだろう。受賞を期待したい。