絶賛再放送中! 『古畑任三郎』ファンが選ぶ、「傑作エピソード」ベスト5
名優・田村正和を偲んで傑作選がまたしても再放送
2021年4月3日に亡くなっていたことがわかった俳優の田村正和。彼の後半生の代表作となったのが『古畑任三郎』(以下『古畑』)だ。
三谷幸喜のユニークかつ洗練された脚本と、田村正和が作り上げた卓越したキャラクターが融合し、日本の刑事ドラマに倒叙(とうじょ)ミステリ(犯人や犯行過程が最初に明かされる形式)という新機軸をもたらした本作は、これまでにシリーズ3期33本とスペシャル5本、FINAL3本、総集編1本、スピンオフ1本の合計43エピソードが放送された。
彼の死を悼んでか、全エピソードを収録したCOMPLETE Blu-ray BOXは、各種通販サイトでしばらく品切れ状態が続いていたほど。また、5月にはFINALの2本、6月には傑作選として5本、さらに7月5日からは追加で10本が再放送中で、改めてその人気の高さを知らしめている。
そこで、小学5年生のときにたまたま見た『古畑』第1シリーズにどハマりし、多感な中高生時代を「古畑フリーク」として過ごした筆者が、個人的な基準と主観で選んだ傑作エピソードベスト5を紹介したい。あなたのお気に入りは入っているだろうか。
傑作エピソード 第5位
第2シリーズ20話「動機の鑑定」(ゲスト/澤村藤十郎)
骨董商・春峯堂の主人(澤村藤十郎)が、贋作で荒稼ぎしていることを告発しようとした陶芸家を殺害。さらに、共犯者だった美術館長の永井(角野卓造)に罪をなすりつけて殺害する。
共犯者の存在、複数の殺人という複雑で充実したプロットに加え、角野卓造のあたふたとした小物感、何よりこれが現代劇初出演だった歌舞伎役者の2代目澤村藤十郎の名演が魅力的な回。柔らかい物腰と飄々とした態度で、冷徹に犯行を重ねるキャラクターは歴代犯人の中でも特異で、慇懃無礼な古畑との対決は見応えがあった。
また、最後に古畑の推理が肝心なところで間違っていたという意味でも珍しいエピソード。「物の価値とはそういうものなのですよ、古畑さん」と諫める彼の堂々たる貫禄には、「ベスト好敵手賞」を送りたい。