命綱なしでこの断崖絶壁を登るなんて……! 心臓が止まりそうになるドキュメンタリー『フリーソロ』
タイトルであるフリーソロとは、なんと命綱などの安全装置を一切つけず、単身で岩山を登るクライミング・スタイルのこと。フリーソロ・クライミング界の若きスーパースター、アレックス・オノルドの挑戦を追いかけたドキュメンタリーが公開されます。ほぼ垂直の岩壁を自分の身体だけで登っていくということはつまり、失敗すれば死が待っているということ。このスタイルで登っているのは世界中のクライマーのなかでも1%しかいない、あまりにも危険なクライミングです。この映画の中で彼が挑むのは、ヨセミテ国立公園にある約975mのエル・キャピタン。映像を見るだけで足がすくむ、ありえないほどの断崖絶壁にどう向き合ったのか。チャレンジ本番までの日々を追いかけていきます。
プロジェクトの内容だけを聞くと正気の沙汰とは思えませんが、もちろん正気でなければ一瞬にして命を落としてしまうわけですから、本人は至って冷静でいつも淡々としています。エル・キャピタンへのフリーソロを決断するまでの道のりも驚くほど堅実なものです。車中で寝泊まりをして野菜中心の質素な食事をとり、ほうきで掃除をする毎日。「いつ死ぬかわからないのは、みんな同じ」とアレックスは語りますが、成功が確信できるまで、ロープを装着した状態で何度も何度も下調べのために岩壁を登り、手をかけられるほんのわずかなくぼみをひとつひとつ探し、ときには空手の蹴りのような足の動きを入念に確認していきます。
アレックスの脳を調べてみると強い刺激にしか反応しないことが医学的にも証明されるのですが、「あ〜、だからこんなことができるか、納得!」とはなるはずもなく、心臓が止まりそうになる驚異の映像が次々と展開します。長く彼のそばにいて、大切な友人でもある撮影クルーがもう見ていられないと顔を背けてしまう姿や、無謀な挑戦を可能にしていく彼の傍らで率直な思いを口にする恋人との関係も描かれています。危険なクライミングに挑むことでしか生を実感できない生き方の裏側に、震えながら触れられるドキュメンタリーです。
『フリーソロ』
監督/エリザベス・チャイ・バサルヘリィ、ジミー・チン
出演/アレックス・オノルドほか
2018年 アメリカ映画 1時間40分
新宿ピカデリーほかにて公開中。
http://freesolo-jp.com
タイトルであるフリーソロとは、なんと命綱などの安全装置を一切つけず、単身で岩山を登るクライミング・スタイルのこと。フリーソロ・クライミング界の若きスーパースター、アレックス・オノルドの挑戦を追いかけたドキュメンタリーが公開されます。ほぼ垂直の岩壁を自分の身体だけで登っていくということはつまり、失敗すれば死が待っているということ。このスタイルで登っているのは世界中のクライマーのなかでも1%しかいない、あまりにも危険なクライミングです。この映画の中で彼が挑むのは、ヨセミテ国立公園にある約975mのエル・キャピタン。映像を見るだけで足がすくむ、ありえないほどの断崖絶壁にどう向き合ったのか。チャレンジ本番までの日々を追いかけていきます。
プロジェクトの内容だけを聞くと正気の沙汰とは思えませんが、もちろん正気でなければ一瞬にして命を落としてしまうわけですから、本人は至って冷静でいつも淡々としています。エル・キャピタンへのフリーソロを決断するまでの道のりも驚くほど堅実なものです。車中で寝泊まりをして野菜中心の質素な食事をとり、ほうきで掃除をする毎日。「いつ死ぬかわからないのは、みんな同じ」とアレックスは語りますが、成功が確信できるまで、ロープを装着した状態で何度も何度も下調べのために岩壁を登り、手をかけられるほんのわずかなくぼみをひとつひとつ探し、ときには空手の蹴りのような足の動きを入念に確認していきます。
アレックスの脳を調べてみると強い刺激にしか反応しないことが医学的にも証明されるのですが、「あ〜、だからこんなことができるか、納得!」とはなるはずもなく、心臓が止まりそうになる驚異の映像が次々と展開します。長く彼のそばにいて、大切な友人でもある撮影クルーがもう見ていられないと顔を背けてしまう姿や、無謀な挑戦を可能にしていく彼の傍らで率直な思いを口にする恋人との関係も描かれています。危険なクライミングに挑むことでしか生を実感できない生き方の裏側に、震えながら触れられるドキュメンタリーです。
『フリーソロ』
監督/エリザベス・チャイ・バサルヘリィ、ジミー・チン
出演/アレックス・オノルドほか
2018年 アメリカ映画 1時間40分
新宿ピカデリーほかにて公開中。
http://freesolo-jp.com