日本とは異なる、アメリカにおける性教育の実態

  • イラスト:山崎真理子
  • 文:稲石千奈美
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アメリカの教育は各州の管轄にあり、性教育事情も州によって大差がある。性教育が義務づけられているのは50州のうち30州で、保護者の同意が必要。そのうち教育内容が医学的な事実に基づくべきとするのは22州、LGBTQの性的嗜好や健康を含むのは11州のみ。逆を考えると驚くべき数字であり、信仰や文化に基づく性に関する価値観が、多様な合衆国の実情をダイレクトに反映している。

リベラルな州の教育内容は生殖機能から性欲、妊娠、避妊、性病まで。小学生もHIVや性的暴力について学習し、ポルノの真偽、デートレイプ、性に関するコミュニケーションといった若者を取り巻く状況もカバー。一方、避妊を含む現実的な性教育を行っていない南部の保守的な州では10代の妊娠率が高い。性教育義務のないテキサス州では、オープンな性教育を求める動きに対し、まず禁欲が重要だとする。リベラルなカリフォルニア州でさえ、自慰行為に触れる内容は過激だと、親がボイコット運動を起こした事例もある。