現在進行形で新しい表現が生まれるカルチャーの世界。2018年の活動を糧に、さらなるステップアップが期待されるクリエイターを紹介します。
宇多田ヒカルが見出した、稀代のボーカリスト
小袋成彬/シンガーソングライター
デビューアルバム『分離派の夏』を2018年4月にリリース、圧倒的な歌唱力と洗練された音楽性、文学的な詩情を感じさせる歌詞で注目を集めた小袋成彬。あの宇多田ヒカルが初めて新人アーティストのプロデュースを手がけたことでも話題になりました。そのきっかけは、16年に発売された宇多田のアルバム『Fantôme』の収録曲「ともだち」でゲストボーカリストとして共演したこと。彼のデビューにあたり、宇多田は「この人の声を世に送り出す手助けをしなきゃいけない――そんな使命感を感じさせてくれるアーティストをずっと待っていました」とコメントしていました。
大学時代にR&Bユニット、N.O.R.K.で音楽活動をスタートし、ユニット解散後には水曜日のカンパネラへの歌詞提供のほか、adieuなどのアーティストのプロデュース、インディーレーベル「Tokyo Recordings」の主宰など、裏方としての活動に徹していた小袋。繊細な色気を感じさせる歌声や、研ぎ澄まされた美意識が評価を集めています。
洒落たセンスでシーンを牽引する、アーバンな3人組。
ラッキーテープス/ミュージシャン
2018年5月にEP『22』でメジャーデビューを果たした3人組。ディスコやファンク、ソウルなどブラック・ミュージックのセンスを巧みに吸収した、洒脱な音楽性で評判を集めてきたバンドです。10月にはメジャー初アルバム『dressing』をリリース。Charaをゲストに迎えた「Lonely Lonely feat. Chara」ではメロディアスなラップも披露し、モダンなR&B/ヒップホップの要素も取り入れた楽曲を展開しています。ホーンセクションなど多くのサポートを迎えた大所帯の編成による、祝祭感あふれるライブも必見。
フロントマンの高橋海はトラックメイカーやプロデューサーとしても活躍し、向井太一やeill(エイル)などブレイクが期待される若手シンガー・ソングライターのプロデュースも手がけています。同世代のSuchmosらとともに、アーバンなJ-POPの潮流を担う存在です。
23歳の歌い手が、懐かしいメロディを響かせる。
あいみょん/シンガーソングライター
2018年の日本テレビ系ドラマ『獣になれない私たち』主題歌の「今夜このまま」や、「マリーゴールド」などのシングルが、Apple Musicのランキング上位を席巻。飛躍を遂げた23歳の女性シンガーソングライターが、あいみょんです。その魅力は、懐かしさと親密さを感じるメロディセンスと心に響く歌詞。ルーツには吉田拓郎や浜田省吾、小沢健二やエレファントカシマシなどを挙げ、日本語の響きを活かした曲づくりを得意としています。
メジャーデビュー曲「生きていたんだよな」など生と死を題材にした過激な描写もありますが、恋愛をテーマに誰もが共感できる胸の高まりや切なさを描いたことがブレイクの理由。女優・吉岡里帆が歌う映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』の主題歌「体の芯からまだ燃えているんだ」など提供曲もチェックしたい。
…以上、「2019年に飛躍するライジングスター10組」でした。こちらの記事は、2018年Pen12/15号「今年最も輝いた表現者たちの軌跡 クリエイター・アワード2018」特集からの抜粋です。気になった方、ぜひチェックしてみてください。アマゾンで購入はこちらから