コーヒー専門店のプロ直伝! 自宅で最高の一杯を淹れるコツ

  • 写真:河内 彩
  • 文:久保寺潤子
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専門店さながらの味を、自宅で再現するには?エアロプレス、ドリップ、マキネッタと3通りの淹れ方のポイントを、プロが解説する。

コーヒーの抽出方法にはさまざまな方法がある。圧力で抽出するエアロプレス、蒸らしつつ抽出するドリップ、直火で湯を沸騰させ抽出するマキネッタ。この3つの手法に着目し、それぞれのプロに淹れ方のコツを訊いた。
共通して大切なのは、上質な豆を選び、挽きたてを使うこと。挽きたての香りこそがコーヒーの出来を左右するからだ。できればコーヒー豆専門店で豆の特徴を教えてもらい、適切な挽き方を選ぼう。ミルは手動よりも電動のほうが粒子の大きさを調整しやすく、均一に仕上がる。粗めに挽いて量を多めに抽出すると、香りがよく雑味の少ない贅沢な味わいになる。

好みの味をより追求するなら、粉と湯の量、温度や抽出時間をしっかり計ること。沸騰した湯で抽出するマキネッタを除き、湯の温度は90〜95℃、粉はスケールで、抽出時間はストップウォッチで正確に計測するのがベター。同じ条件で一定の味が出せたら少しずつ条件を変え、好みの味に近づけていきたい。さらに焙煎具合を変えれば、同じ豆でも味わいは無限に広がる。豆の個性を引き出した最高の一杯を淹れるため、プロ直伝の技を学びたい。


AEROPRESS エアロプレス

<POINT>

□上質な豆を使う

□計測はきっちり行う


浅煎りでフルーティな香りを楽しみたいなら、エアロプレスがお薦めだ。使い方を教えてくれたのは、ノルウェーに本店のある「フグレン」の高橋圭也マネジャー。「温度や量をしっかり測れば仕上がりにブレがなく、安定して淹れられます」。筒状の容器に挽いたコーヒーと湯を入れ、軽く混ぜてから1分蒸らし、さらに軽く混ぜる。その後20~30秒かけて最後までしっかりプレスする。「空気圧をかけて抽出するエアロプレスは豆の特性がダイレクトに出るので、特に上質な豆を手に入れたらぜひ試してみてください」

フグレン アサクサ
東京都台東区浅草2-6-15 
TEL:03-5811-1756 
営業時間:9時~21時
定休日:無休
www.fuglen.com

DRIP ドリップ

<POINT>

□豆は挽きたてを使う

□最初の蒸らしはじっくりと


ドリップは“蒸らし”がポイントで、抽出の時差によって味わいに変化が出る。「ジュビリー コーヒー アンド ロースター」の関根健治オーナーは「最初の抽出で豆の最もおいしく濃い成分が溶け出すので、ていねいに。後半は苦みや渋み、雑味が出やすいので、さっと淹れるイメージで」と話す。必要量を淹れ終わった後、ドリッパーから滴るコーヒーを味見し、薄くて嫌な味がしなければ上々。ポットの形状も大切だ。「注ぎ口が根元まで均一に細いタイプは湯量が一定で細く注ぎやすいので、初心者にもお薦めです」

ジュビリーコーヒー アンド ロースター
東京都港区白金台3-18-10 
TEL:03-6721-7939 
営業時間:10時~18時 
定休日:月、火 
www.jubilee-coffee.jp

MACCHINETTA(MOKA EXPRESS) マキネッタ(モカ・エキスプレス)

<POINT>

□コーヒーの粉は押し込まない

□マキネッタを“育てる”意識をもつ


イタリア食材店を営むマッテオ・サンクリッカさんは言う。「モカエスプレッソ機器のマキネッタは、耐久性のあるステンレス製がよいです。洗剤で洗わないで。繰り返し使うことでコーヒーのオイルが膜になり、自分好みの味になるのです」。容器の底に水を注ぎ、フィルターにはコーヒー粉をまんべんなく入れること。粉は、店舗でも販売するマキネッタ用がお薦め。「粉は押し込みすぎるとエグみが出やすい」ので注意したい。上部をセットして中火にかけ、コーヒーが半量ほど上がってきたら火を止め、余熱で抽出すれば完成だ。

ドロゲリア サンクリッカ
東京都港区白金1-5-7 
TEL:03-3444-0516 
営業時間:8時~18時 
定休日:水 
http://drogheriasancricca

※この記事はPen 2021年7月号「コーヒーとグリーン、ときどきポッドキャスト」特集より再編集した記事です。