Clubhouseユーザーが台湾でも急増中。中国人ユーザーとの政治的議論も行われていたが……。
いま世界各地で話題になっている音声SNSアプリの「Clubhouse」。
2月頭ごろから台湾でもタレントやYouTuberらが続々とアカウントを開設。たちまちフォロワー10万人のアカウントも登場するなど、ユーザーの増加が見て取れる。
台湾ではiPhoneよりもAndroidユーザーの方がやや多いのだが、現時点でこのアプリはiOSにしか対応していない。それでもすでに「沼」にハマる人が続出中だ。
興味深いのがその使われ方。YouTubeなどのGoogle系のサービスやFacebookが使われていない中国でも同アプリが使えていたことから、台湾と中国のユーザーがアプリ上で交流するという現象が起きたのだ。
「中国のチベット自治区や新疆ウイグル自治区にいる人たちと話そう」「香港のいまについて話そう」「両岸(中国と台湾)の若者たちで話そう」などといった、政治に関わる敏感なテーマのルームが開設され、台湾で大きな話題となった。しかし、その後すぐの8日夜に突然、中国ユーザーが同アプリを使えなくなってしまう。「政府による規制か」と噂されているが、真相は掴めていない。
現在でもVPN接続などを利用してアプリを使用している中国ユーザーもいるが、会話の途中で急に接続が切れてしまうようなこともあり、台湾側のモデレーターたちは「まさかとは思うけど、これって、あれかな…」といった声を漏らしていた。
台湾の人口はおよそ2300万人だが、移民や仕事などの関係で海外に住む台湾人も多い。中でも台湾と日本や中国間は時差が少ないこともあり、各地の中国語スピーカーらが「Clubhouse」で情報を交換したり、互いの考えや価値観について話し合うような流れが生まれているように見受けられる。
その日のニュースについて皆で所感を話し合うルームも人気だ。9日の朝には世界最大手の半導体生産企業「TSMC」が日本に開発拠点を設立するというニュースが話題となり、世界各国にいる華人たちが意見を交わし合っていた。このルームは参加者上限である5000人に達するなど、注目度の高さがうかがえる。
これまでの台湾では、こういった情報は匿名掲示板でやり取りされることが多かったが、時差の影響をそれほど受けないエリアに関しては今後もこの流れが加速していくはずだし、実名性というルールにより、これまでになかった領域を超えてのコラボレーションが生まれる予感がある。