Vol.08 本自体が倉俣作品のよう! アクリルケース...
写真・文:錦 多希子

定期的に海外のひとつの出版社に焦点を当て、その出版社の本だけを取り扱うショップ「POST」のスタッフが、いま気になる一冊をピックアップ。今回、錦多希子さんが注目したのは、出版物の方針を大きくシフトチェンジすることで成長を遂げたPhaidon(ファイドン)社です。さまざまなジャンルに通じ豊富なアーカイブ情報を保有するこの出版社は、どのような変化を経て、現在のポジションを築き上げたのでしょうか?

Vol.08 本自体が倉俣作品のよう! アクリルケースに収められた2冊組。

Shiro Kuramata / Deyan Sudjic / Phaidon
シロウ クラマタ / ディアン・スジック / ファイドン

「POST」では2011年11月からスタートした特集を通じて、これまでに20社以上の出版社を取り扱ってきました。出版社ごとに規模や専門領域は異なりますが、往々にして時代や世の中のニーズの変化を敏感に察知し、軽やかに方向転換をしていくということが求められます。イギリスを拠点とする「Phaidon(ファイドン)社」は、アート・建築・デザイン・写真・料理・児童・旅行ガイドと、さまざまな分野を手広く手がける大手出版社です。タイトルによっては日本語版を刊行しているので、比較的馴染みのある方も多いのではないでしょうか? Phaidon社の大きな特徴といえば、膨大な情報のアーカイブを独自に構築しているところ。質・量ともに豊富な情報の蓄積は、まるで百科事典さながらの知識という宝の山のようです。本づくりにあたって、まずコンテンツの方向性を定めたあと、この隈なく網羅されたアーカイブから必要な情報をピックアップし、一冊の本へと編纂していきます。

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