世界中の出版社やアーティストが東京に集結する「TOKYO ART BOOK FAIR(以下、TABF)」が今年、バーチャル空間で開催される。その名も「VIRTUAL ART BOOK FAIR(以下、VABF)」だ。
2009年に始まったTABFは、独創的なアートブックを手がける出版社やギャラリー、アーティストを世界中から募り、昨年は東京都現代美術館を舞台に行われた。今年は新型コロナウイルス感染拡大のため、リアル空間での開催を断念。インターネット上に東京都現代美術館を模したバーチャル会場を設置して実施される。オンラインならではの形で、これまでのTABFのような交流の場をつくり上げることを目指している。
コロナ禍がもたらした影響は、会場だけでなく資金面にも及んだという。多くの国や企業が経済的打撃を受け、VABFにもたらされる協賛金が大幅に減少。会場をバーチャルに切り替えても、必要となる経費は例年と変わらないという。そのためVABFは、不足する資金を補うために、クラウドファンディングプロジェクト「VABF KIOSK」を実施中だ。
支援者にはVABFの限定アイテムを贈呈。クリエイター同士のコラボZINEや、TABFと縁のあるアーティストやデザイナーが手がけたTシャツやトートバッグなど、気になるアイテムが満載だ。
2015年に始まった連動企画「Guest Country」はオランダに決定。同国の出版社やアーティストが出展するほか、デザイン大国と呼ばれるオランダのアートブックシーンをひも解く4つの展覧会やトークショーが開催される。
このVABFは11月16日(月)から23日(月・祝)まで8日間にわたって開催予定。期間はこれまでの二倍ほどの長さとなる。従来のTABFは、ぎゅっと凝縮された短い期間で、さまざまな交流をもたらしてきた。その空間が、バーチャルによってどのように生まれ変わるか。会場にアクセスする日が待ち遠しい。