絵画からパフォーミング・アーツまで、幅広いカルチャーを発信する注目の文化施設「ザ・シェッド」がオープンした。
総面積は約18,580㎡で、ギャラリースペース、多目的シアター、ラボなどを有するこの建物は、なんと建物の一部を動かして空間を拡張できる。建物本体を覆っているシェルの足元には車輪があり、レールに沿って庭に移動させると、新たに約1,600㎡のスペースが生まれる仕組み。しかも移動は5分で完了、拡張した場所でも音響や空調の管理が可能なのだ。シェルが移動するのは年に数回のみ。そのタイミングはウェブやSNSで告知があるので、巨大なこのハイテク建築が動く様子を、ぜひその目で確かめたい。

ロサンゼルスやロンドンに並び、多数のミューラルアート（壁画）が街を彩るアムステルダム。市内東部のプラターネン通りに誕生した色鮮やかな作品群も、新たな名所として街に活気を与えている。カンヴァスになったのは一列に並ぶ公団住宅5棟の妻壁で、両面に15ⅿ×10ⅿのサイズで10点描かれている。「みんなの街、アムステルダム」を主題に、国内外のアーティストが腕をふるった大作だ。
「もし壁が話せたら」と銘打ったこのプロジェクトは、1950年代半ばに建設された住宅棟の化粧直しが目的。ストリートアートはいまや地域の環境改善にも有効だと公共機関も注目している。おかげで街には名作が増え、それらを巡るツアーも静かなブームだ。

いまニューヨークで最も注目を集めるハドソンヤーズに、トッズの新コンセプトショップ「トッズライブラリー」がオープンした。
壁面やガラス戸の取手には、トッズのシグニチャーでもあるバケッタレザーがふんだんに使われ、床面と大きなテーブルのイタリア産大理石が高級感を引き立てる。店内奥には、まさにライブラリーと呼ぶにふさわしい書棚のようなシェルフが。棚の最上部に設置されたモニターで、職人の制作工程を見ることができ、その下にはアイコンとも言えるモカシンのゴンミーニがズラリと並ぶ。もちろんゴンミーニのカスタムも可能だ。トッズのブランドの神髄を感じられる空間で、自分だけの特別な一足を選んでみてはいかが。

ライフスタイル雑誌『キンフォーク』の創刊者ネイサン・ウィリアムスと、王室にも支持される家具ブランド「メニュー」などを手がける建築・デザイン事務所ノームアーキテクツ。この豪華な顔ぶれがコラボした複合施設が、市内北東部の再開発地区ノードハウンに完成した。オフィス、ホテル、ショップ、カフェ、レストラン、ライブラリーが一堂に集結した「ジ・オード」だ。「名称はラテン語の『ひとつから、すべてを学ぶ』という言葉から。ここに人が集まり、経験、知識、アイデアをシェアして、新しいことが生まれる場にしたい」と語るネイサン。今後は、デザインやアートイベントなども開催する予定だとか。多くの出合いがここから生まれそうだ。

移民問題で揺れる欧州の中でも、突出して多くの難民を受け入れてきたドイツ。特に2015年は100万人を超える記録的な年だった。シリア難民のマラケー・ジャスマティもそのうちのひとりで、トランクいっぱいにスパイスを詰め、故郷ダマスカスを後にした。そんな彼女が苦労の末に開業したレストラン「マラケー」は、エキゾティックなのにどこか懐かしい味わいで、早くも人気を集めている。
実は彼女、シリアの反体制派テレビ局で放送されていた料理番組の司会者で、アラビア語圏では名前を知らない人はいない超有名人。「料理は愛を込めたコミュニケーションの手段」と言うジャスマティ。おいしい料理を通じ、世界中の人々を結びつけたいと願っている。