19世紀から何度か形を変えて噴水が設置されていたシャンゼリゼ通りのロータリー、ロン・ポワン・デ・シャンゼリゼ。1998年から20年以上にわたって休止されていた噴水が、このほど復活。ロナン&エルワン・ブルレック兄弟のデザインだ。
噴水は高さ13ⅿ。ブロンズの支柱を囲む3本のパイプの下端から静かに水が流れ、そのパイプがゆっくり回転する。日が落ちると、3200個を数えるスワロフスキーのクリスタルがLEDの光を受けて輝く。透明感のある軽やかな構造美が魅力だが、従来の水が吹き上がるイメージとは異なる噴水に、「醜い」「美しい」と地元の意見は真っ二つに。市民に受け入れられるにはもう少し時間がかかりそうだ。

ドイツ・エディトリアルデザイン財団が毎年開催する「世界で最も美しい本」賞は、造本装幀コンクールの世界的権威。34カ国から600点余りの応募が集まった今年は、アムステルダムのファン・ズテンダール出版による『アムステルダム・スタッフ』が見事大賞に輝いた。昨年この街に開通した地下鉄の建設中に発掘された品々を写真に収めたカタログで、氷河期の化石から中世の生活用品、そして携帯電話など現代の「落とし物」まで、カテゴリー別に紹介。その数は約1万3000点におよぶ。「考古学者が発掘物を並べて検証する調査現場を彷彿とさせる。各アイテムの特徴を余すところなく見せる、“宝殿”のよう」だと審査員が評した、一見の価値ある本だ。

デジタルが進化した時代でも、本好きのコペンっ子にブックカフェは欠かせない。市内各所にあるが、なかでも話題の一軒は中心地からクルマで北に約10分の下町・ノアブロにオープンした「ダーシース・カフェ&オーエフアール・コペンハーゲン」。美味なコーヒーと、パリの書店と提携したアートブックの豊富さが特長だ。
オーナーは英国人バリスタと南アフリカ人の写真家。サードウェーブ系のカフェで同僚だったふたりがタッグを組み、店をもつ夢を叶えた。半地下の店内には、国内外のデザイン関係者やコーヒー好きが立ち寄り、早くも情報交換の場になっている。アート作品の展示は定期的に変わるから、ギャラリー感覚で訪れ楽しんでほしい。

いまや5人にひとりがグルテンフリーの食生活を心がけているとも言われるドイツ。グルテンフリーのパンはスーパーでも手に入るが、正直、味も食感もイマイチなものばかり。そんな中で、とあるパン屋がオープンし人気を集めている。「皮はパリッ、中はもっちりした、穀物の香りが広がるパンが食べたい！と切望していた」と話すのは、その店「アエラ」のオーナー、アヴァ・セリク。5年前にグルテンアレルギーと診断されて以来、理想のパンを探し続けていた彼女。自らサワー種をつくり始め、ついにパン屋を開業させるまでに至った。1日かけて発酵させるパンはしっとりして風味も豊か。アレルギーの有無にかかわらず、この味の虜になる客は多い。

ショッピングモール、ホテル、住居などを有する超大型複合施設、「ハドソンヤーズ」がオープン。なかでも建築家のトーマス・ヘザウィックが手がけた「ザ・ヴェッセル」に注目が集まっている。
ヘザウィックは、見るだけでなく体感できるオブジェというコンセプトを掲げ、インドの階段井戸に着想を得た高さ46m、全2500段の階段を上り下りして楽しむ建築を完成させた。80カ所もある踊り場からニューヨークの景色を楽しむことができるが、見ての通りスニーカーが必須。無料だが事前にチケットの予約が必要で、2週間先まで予約は満員という人気ぶりだ。脚力に自信がなければ、向かいのレストランへ。ザ・ヴェッセルを眺めながらの食事も一興だ。