ロンドンを拠点に活動するペインター、ピーター・マクドナルドによる個展『Sampo / 散歩』が青山・西麻布周辺の6会場にて開催する。

東京に滞在し今回のために描きおろした新作をはじめ、これまで描きためてきた未発表作品や、スペインの版画工房とコラボレーションをしたリトグラフ作品を世界に先駆けて発表する他、国内では初となる映像作品も見どころのひとつ。

東京での個展開催は実に11年ぶり。void+での展示は6月25日から開催を予定し、表参道を散歩しながら各会場の作品を楽しみたい。

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マクドナルドは、日常におけるさまざまな場面で遭遇する示唆的な出来事を、明るく軽やかな色彩とユーモアあふれる構成によって描くロンドン在住のペインターである。海辺で日光浴をしたり、カフェでお茶を飲んだり、美術館やギャラリーで作品鑑賞をしたり、音楽を聴きながら身体を動かしたり、バスケットボールやサーフィンに挑戦したり、ときには宇宙旅行に出かけたり、ひとりになって瞑想をしたりと、マクドナルドの描くペインティングの中には思い思いの時間を過ごす多様な人物たちが登場する。彼らは、それが現実の世界であれ空想の世界であれ、私たちが生活するこの世界の延長線上に暮らす住人たちで、彼らの営みやコミュニケーションには、日頃、私たちが見落としてしまいがちな多くのヒントや気づきにあふれている。

作家自身が日々の生活のなかで体験した出来事はもちろん、雑誌の表紙やレコードジャケット、美術史やSF的な空想や瞑想体験などからもリファレンスされるペインティングは、それぞれが独立した作品でありながら、今回展示が行われる6つの会場をめぐる中で出合う街の人々や景色、そして私たちの想像力やひらめきによって、ひとつのオデッセイのように紡がれていく。

多様な人々の営みを知り、その価値観や可能性を見つめることで、マクドナルドの描き出す世界が、私たちの進むべき未来のヒントを示してくれる現代の「神話」や「寓話」のようなものになるのかもしれない。