いま、世界がこのアーティストに夢中だ。その名は、草間彌生。作品の価格は億を超え、現役女性アーティストの史上最高額を記録。2011年からは、現代美術の最高峰美術館をめぐる大規模個展が始まった。1957年に単身渡米した草間は、無限に広がる“網”の絵画や、数々の裸のハプニングでセンセーションを巻き起こし、いち早く国際的に認められた数少ない日本人アーティストだった。幼い頃より悩まされた幻覚に始まる彼女の創作世界は、自ら見ていた“水玉”という強靭な繰り返しのヴィジョンによって、永遠性と、宇宙ともいえる壮麗さを獲得する。作品を所蔵する美術館のキュレーターは口々にこう言った。「クサマの作品を見る人は、みんな自然に『アッ』と声が出るんだ!」愛、そして生命の不思議――手に取ってみることのかなわぬ神秘を、両手いっぱいにすくって見せてくれる、不世出の天才!本書は、アート史に動脈のように赤々と流れる草間彌生の軌跡である。
目次
単純にして複雑な、草間ワールドの謎。
町中へ飛び出すカラフルなドット
世界が草間彌生を認める、その理由。
水玉に込められた意味を、解き明かす。
強迫観念に対峙した、「柔らかな彫刻」。
誰もが唸った、ハプニングという行為。
この上なく素晴らしい、「鏡」という素材。
大空間や野外へ広がる、3次元のアート
かなわなかった、少女の幸せを求めて。
ひたすら描いた松本時代、才能が萌芽。
全米で展開された、「クサマ・ファッション」。
色鮮やかに増殖を続ける、版画の世界。
コラージュに見え隠れる、愛する人の死。
文学にも花開く、比類なき創造の力。
密着映像に見る、「天才」の知られざる顔。
世界の目利きが愛する、クサマ作品。
日本の草間ファン、私はここが好き。
傑作に出合える、日本のアート・スポット
ポップなグッズは、どれも欲しくなる。
カリスマであり続ける、芸術家の足跡。
草間の求道は、死しても終わらない。
●Billingual in Japanese and English
●協力/草間彌生スタジオ