鯖江の職人とつくる、繊細で流麗なチタニウムの造形。

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:高野智宏
  • ムービー:HIROBA
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ジンズの先進的プロジェクト「JINS DESIGN LAB.」から生まれた「TITANIUM meets Sabae」。チタンならではの繊細で美しいフォルムと軽く快適なかけ心地は、アイウエアの真価を如実に物語ります。

「JINS DESIGN LAB.」は、現在のデザインや技術など、アイウエアにおけるあらゆる要素に改めて疑問を投げかけ、概念的、技術的な進化を追求し、新たなアイウエアを創出するジンズの先進的な取り組みです。これまで、プロダクトデザイナーの角田陽太さんと「ライン(線)」の美しさを追求したモデルや、眼鏡づくりの聖地と呼ばれる福井県鯖江市の眼鏡職人とつくり上げたセルロイドシリーズを展開し、話題を集めてきました。なかでも、今回紹介するチタンフレームシリーズ「TITANIUM meets Sabae」は、ジンズがこれまで培った知見と、鯖江の眼鏡職人がもつ高い技術力との融合により生まれた、洗練さ極まるシリーズといえます。

建築家の大野力さんも感嘆した、複雑機構を内包するフォルム

大野力。1976年生まれ。一級建築士。金沢大学工学部で都市工学を学び、2004 年に株式会社シナトを設立。建築とインテリアのほか、インスタレーションアートなど、国内外を問わず多彩なプロジェクトに携わる。この春開業したJR新宿駅新南エリア(改札内外コンコース・広場・商業施設)の設計も担当した。

「まず、この繊細なラインが生む、圧倒的な軽さに驚きました。とはいえ、立体的なフォルムのためフィット感もよく、頭を振ったり下を向く程度ではズレることもない。装着感すら感じないほどに軽量のため、かけ心地は最高ですね」。

アイウエアの可能性を追求するジンズの先進的プロジェクト「JINS DESIGN LAB.」の第2弾として誕生したチタンフレームシリーズ「TITANIUM meets Sabae」からいくつかのモデルをフィッティングし、そう感想を述べるのは、建築家でありインテリアデザイナーとしても活躍する大野力さん。
大野さんにとって、手がけた作品に使用する素材は重要な関心事のようです。この「TITANIUM meets Sabae」で主に使用される素材の「βチタン」にも、建築家ならではの視点が注がれました。

「線のような2次元的なフォルムでいて、立体的な構造美を表現している」と、大野さんもその繊細な造形に感嘆する。

「建築では機能や構造的な条件により素材を決定することが多い。この眼鏡も、繊細なラインと眼鏡としての耐久性を併せもつ最適な素材として、必然的にβチタンが選ばれているのでしょう。建築界では馴染みのない素材だけに、その繊細な表現力には憧れすら感じますね」。

バネ性にも優れた快適なかけ心地と、繊細でいて美しいデザイン性。それら蓄積されたジンズの知見を、見事「TITANIUM meets Sabae」で具現化してみせたのが、眼鏡の聖地、鯖江の眼鏡職人による熟達の技術力にほかなりません。微細な感覚が求められるスウェージング(叩き出し)加工は、最細部わずか1.1mmの極細テンプルを実現。上質さを際立たせる磨きも、ヘアライン加工を施したフロントに対し、テンプルは鏡面加工など、各モデルそれぞれに適した美しい仕上げが用いられています。

「設計やデザインが優れていることはもちろん、職人さんの技術力が高くなければ上質なものはつくれません。それは建築であれ眼鏡であれ変わりませんよね」 と、大野さんも製品づくりにおける職人の技術力の大切さに賛同する。
なお、特に大野さんが同シリーズで共感を覚えるのが、フロントからテンプルに至る流麗な曲線であるといいます。「眼鏡は蝶番の存在が一体的な美しさを分断することもありますが、このシリーズはシームレスなラインの中に、蝶番に加えレンズ留めという複雑な機構が破綻なく内包されている。このデザインと技術力の融合は素晴らしいのひと言です」。

仕事におけるこだわりとして、「作品が付帯する数多の条件を超えて可能性を提示し、新たな慣習を創造したい」と語る大野さん。ジンズの知見と鯖江の職人による卓越の技術力が融合し誕生した 「TITANIUM meets Sabae」。この眼鏡にも同様の高き志を感じたようです。

素材とデザインと技術が生む、快適なかけ心地。

智(ヨロイ:フロントとテンプルの接合部)からテンプル、そして、モダン(先端)へと伸びる流麗なライン。

「TITANIUM meets Sabae」の魅力といえば、加工性と耐久性に優れたチタンだからこそ表現できた、繊細かつ流麗なフォルムにほかなりません。
なかでも、美しくシェイプされた最細部わずか1.1mmのテンプルの造形は、かける者に所有する喜びを抱かせます。これは、丸線と呼ばれる4.5mmのβチタンを8方向から叩き、絞るように伸ばしながら1/100mm単位で微調整する「スウェージング」加工により実現したもの。また、上質さを際立たせる美しい仕上げも、多彩な研磨剤やバフの中からフレームの硬度に合わせ最適な組み合わせを選び、微細に磨き上げることで艷のある輝きが生まれます。この造形と仕上がりは、いずれも鯖江の眼鏡職人による精妙な手仕事によるもの。その高い技術力には脱帽のひと言です。

ほかにも「TITANIUM meets Sabae」には、ジンズの快適なかけ心地と美しいデザインへの数多のこだわりが宿されています。そんなこだわりの一部を紹介します。

体温でなじむノーズパッドが、長時間かけ続けた際のストレスを軽減するとともに快適なフィット感を実現する。

「TITANIUM meets Sabae」全モデルのノーズパッドには、体温を感じ約36℃で鼻のラインに馴染む形状記憶樹脂パッドを装備しています。さらに、βチタン特有の弾力性と耐久性を併せもつバネ性をもった新開発のテンプルにより、ジンズがデザインと同様にこだわリ続けてきた快適なかけ心地を実現しました。なお、一般の眼鏡ユーザー対象の通常のチタンフレームと比較したかけ心地の主観調査でも、「安定性がよい:87.5%」、「フィット感がよい:82.5%」、そして、「重量感がよい:77.5%」と、かけ心地に関して極めて高い評価を得ています。

新たに採用された開閉型パーツ「一ヶ智(いっこち)」が、シームレスで美しいラインを実現しました。

「TITANIUM meets Sabae」シリーズでは、フロントとテンプルとの結合部分に、テンプルの開閉を司る蝶番に加え、レンズ留めのネジであるリムロックの複雑機構を内蔵した「一ヶ智」を採用しています。この一体型の開閉パーツを採用することで、智からテンプルへの継ぎ目のない流れるような美しいフォルムが実現しました。さらに、その美しいフォルムを際立たせるのが仕上げの磨き作業。素材を知り尽くす鯖江の職人の手作業によるていねいで繊細な磨きにより、「TITANIUM meets Sabae」にいっそうの上質さがもたらされているのです。

知的な印象をプラスする、注目の3モデル

MTF-16S-701 シルバー

見る人にシャープな印象を与えるスクエアモデル。ボリューム感あるブリッジが、フロントに配されたグリップリムの繊細さをより際立たせます。テンプルは、智から徐々にシェイプされ1.1mmの最細部から再びボリュームを増すシームレスで流麗なラインを描き、美しくデザインされたモダン(テンプル末端)へと帰結します。この洗練さ極まるメタルならではのデザインは、上質なテーラードジャケットとも好相性です。¥19,440 ※度付きレンズ代込



MTF-16S-711 アンティークゴールド

かける顔のタイプを選ばず、日本人の顔型にもよく似合うウェリントンモデル。真鍮を思わせるクラシックな色合いが、大人に似合いそうな1本です。また、ブリッジとリムの接合部には焼き付けたままのような色彩を、そして、フロントはヘアライン、テンプルには鏡面とパーツにより異なる仕上げが施された、ジンズと職人のこだわりが凝縮されたモデル。アンティークのような風合いも魅力的です。¥19,440 ※度付きレンズ代込



MTF-16S-704 ネイビー

オーバルとボストンが融合したような玉型が印象的なラウンドモデル。特徴的なスタイルながら、実は誰もが似合うラウンドタイプのエントリーにも最適なモデルです。シリーズ中もっとも繊細なリム、そして、ガンメタのネイビーブルーという珍しいカラーも、顔にすっきりとした印象を与えてくれます。爽やかな雰囲気を演出してくれる、眼鏡コレクションに加えたい1本といえるでしょう。¥19,440 ※度付きレンズ代込


「JINS DESIGN LAB.」から生まれた革新のチタンフレームシリーズ「TITANIUM meets Sabae」。このラインには、上記で紹介した3タイプのほか、計32モデルがラインアップしています。これまでお伝えしてきたとおり、デザインやかけ心地の上質さはもちろんのこと、チタンならではの色彩を表現したカラーバリエーションも豊富なため、誰もが自分好みの一本を見つけることができるはずです。繊細で美しいフォルムと、これまでにない快適なかけ心地を感じさせてくれる「TITANIUM meets Sabae」シリーズ。メタルフレーム眼鏡の最進化系といっても過言ではないこの眼鏡は、知的な印象をプラスするアイテムとして、注目したい名品です。(高野智宏)

JINS DESIGN LAB.

http://www.jins.com/jp/lab/
※一部のJINS店舗で展開。店舗により取扱商品が異なる場合があります。