腕時計ブランド「TRUME」に各界の識者が迫る連載企画。第9回は、元プロボクサーでアーティストの鬼塚勝也さんが、自己の追求を軸に語ってくれました。
TRUME(トゥルーム)は、エプソンが立ち上げた新コンセプトウオッチのブランド。さまざまなセンサーを搭載しながらも、その表現をすべてアナログの針で行うという大胆な発想で注目を集めています。そのセカンドモデルが新たに登場。海をテーマとした本モデルを、元プロボクサーで現在はアーティストとしても活躍する鬼塚勝也さんに使ってもらい、そのインプレッションを語ってもらいました。
他者や時代の流れに惑わされず、自分にしかない心の響きを大事に。
元世界チャンピオンの鬼塚勝也さんは、現在ボクシングジムを運営しつつアーティストとしても精力的に活動しています。人間の根源的な感情、知覚、身体感覚を、きわめてユニークな視点で複合的に掴みとり、その瞬間をキャンバスに凝縮させた作品群は、現代美術の専門家からも賞賛されています。
「小さい頃から自分の腕だけで自己証明できるボクシングの世界に憧れ、引退したいまではその思いをアートにして表現できるようにやっています。だから僕の中ではボクサーから画家に転身したという意識はないですね。いつも他者や時代の流れに惑わされず自分にしかない心の響きを大事に表現していければと思っています。そこを追求していきたいです」
1ページめで、鬼塚さんの作品とともにある腕時計。それがエプソンの新コンセプトウオッチ、TRUME(トゥルーム)です。アナログ腕時計とは、こうあるべきだと語りかけてくるような普遍的なデザインには、鬼塚氏のマインドにも共通する独創的なこだわりが詰まっています。1942年の創業以来、腕時計を製造し続けてきたエプソンのDNAが、腕時計の新しい可能性を切り拓く。その内部には腕時計の製造と並行してエプソンが開発してきた実績のある各種のセンシングデバイスを高密度に実装。高精度GPSセンサー、気圧・高度センサー、方位センサーを内蔵し、計測結果はあえて文字板のアナログ針だけを使って表示。この高度に電子化されたメカニズムは徹底的な省電力の仕様であり、ライトチャージシステムで駆動するので電池交換は不要です。外観から識別することは難しいが文字板の裏側には高効率のソーラーパネルを装備し、室内光の明るさでも十分に充電できます。
既成概念に縛られないからこそ生まれた、新しい発想の腕時計。
「できることすべてをやり尽くすのは、ある意味で自己満足みたいなもの。でも、それは自分にしかできないことを追求した結果。時計だけでやってきたら既成概念に縛られるところが、そうじゃないから生まれてきたマニアックなほど多機能な腕時計に新しい発想を感じます。時計以外の分野で積み重ねてきたことを活かし注ぎ込んである。そして重厚な見た目と違い、すごく軽量なのにもビックリです」
TRUMEのMコレクションは、軽量で強靭だが加工が困難な純チタンを素材に採用しています。このモデルではマットな質感を楽しめる純チタン製バンドとケースの双方に、あえてコーティング加工を施していません。それはチタンの素材感を存分に味わうとともに、愛用した年月に応じた経年変化を楽しむためです。このアイデアに、鬼塚さんは共感を示しました。今日履いてきたのは、東京に出た30年前にファイトマネーで購入し、それ以来ずっと時を過ごしてきたデニムだそう。
「ジーンズは好きで履きつづけているのが沢山あるけれど、特にこの一本は自分の歴史みたいなもの。自分の身体にすごくフィットしてなじむんです。長年履き続けてボロボロになっても手直しして。これはつくろうと思ってつくれるものじゃないです。時間とともに身体と一緒の動きをして、いろんなことを体験してきたことが現れてくる。その人の人生そのものが、映し出されているようなものですよね」
自分が心から好きだと思える事柄に没頭し、決して中途半端に終わらせない。そのストイックな取り組みは自己の存在を証明し、他者の心も揺さぶります。そんな人生の求道者に寄り添い、時を重ねていくことを想定した腕時計。それがTRUMEなのです。