腕時計ブランド「TRUME」に識者が迫る連載企画。第3回は腕時計ジャーナリストの篠田哲生さんがエプソンの先端技術を軸に語ります。
上質なアナログウオッチに先端技術を高密度で実装し、エプソンが満を持して放つ新ブランド、TRUME(トゥルーム)。同社の歴史は腕時計部品の製造組み立てに端を発し、現在も国産腕時計の開発製造を続けています。しかし、その活動範囲は腕時計に限定されません。その背景を、腕時計ジャーナリスト、篠田哲生さんに解き明かしてもらいました。
省エネで精度も高い小型デバイスを研究開発。
「スイスの時計メーカーは時計しかつくれませんが、エプソンは確固たる時計製造技術だけでなく、実にさまざまな技術や知財をもっています。時計メーカーというよりむしろウェアラブルデバイスもつくっている企業という印象が強くあります」と腕時計ジャーナリストの篠田哲生さん。マイクロデバイスやロボティクス技術に加え、GPSアンテナなどセンサーに関する技術において、エプソンには特筆すべき点があるといいます。
「ハイテクなアナログ腕時計に搭載されるGPSモジュールは、省エネで高精度、高感度。業界の誰もが認める先進技術をもっています。ちなみにGPS機能は通常の電波時計より多くの電力を消費するといわれます。とはいえ文字盤の面積には制約があるのでソーラーセルはこれ以上大きくできません。けれどもエプソンは省エネで小さく、精度も高いデバイスを自社で研究開発する能力があります。このTRUMEには、その強みが活かされ、腕時計という形で見事に提示されていると思います」
TRUMEの腕時計は日本の準天頂衛星システム「みちびき(初号機)」にも対応し、優れた受信感度でGPS衛星の情報をキャッチ。現在位置のタイムゾーンを特定し、常に正確な時刻を示しています。そのエネルギー源は室内の明るさでも十分に充電できる、高効率のソーラーパネルです。
GPSセンサーだけでなく、気圧・高度センサーや方位センサーも搭載しながら光発電によって定期充電不要で駆動し続けます。さらに上位機種に付属するエクスパンデッドセンサーを使えば、温度・紫外線・歩数・消費カロリーも計測できます。その点からも、エプソンの独自性が窺えます。
自社一貫生産だから可能な、 ハイテク系アナログ時計。
「他社であればスマートフォンと連携して付加価値を高めるのが一般的ですが、専用のセンサーを腕時計の外に出すという独自の方法論が面白い。自己完結したシステムをつくりたいという技術屋としてのプライドを感じます。それが、ハイテク系の自社一貫製造メーカーであり続けようとする意志表示でもあると思います。腕時計の外装から電子デバイスまでつくれるメーカーはスイスには存在しません。これだけの多くの機能を、すべてソーラー発電のみで動かし続けているというのだから驚きました」
TRUMEの掲げる信条とは、伝統と革新の融合。各種センサーが感知したデータは、文字盤に配置されたアナログ針で指し示されます。
「身に付けて、感覚的に見るには針の表示の方がいいし、個人的には腕につける時計はアナログ表示であってほしいですね。この時計を身に付けたらどんなことが起きるのかを想像しています。TRUMEは海外旅行でも間違いなく役立ちますし、この時計に対するスイスの人たちの反応を見てみたい。また、アルプスの山頂付近まで登山列車に乗って気圧や高度の変化を目視してみたいですね。そういうワクワク感を与えてくれる腕時計だと思います」
自分のいる場面を高い精度で計測し、その体験から生まれる感動を増幅させてくれる頼もしい相棒。それがTRUMEという腕時計なのです。
問い合わせ先/エプソン販売株式会社 TEL:050-3155-8285
【TRUME、時を刻むアナログの鼓動】Vol.1はこちらから。
【TRUME、時を刻むアナログの鼓動】Vol.2はこちらから。