3年の熟成を経たシングルモルトが、ついに来年リリースされる嘉之助(かのすけ)蒸溜所。彼らの目指すウイスキー造りとはなにか。鹿児島日置市。眼前に東シナ海が広がる、日本最南端の蒸留所を訪ねた。
“クラフト”というキーワードが象徴するジャパニーズウイスキーの新たな時代の幕開けを告げるように、2016年頃から日本各地に続々と登場したウイスキー蒸留所。現在のウイスキーマップでは最南の地となる鹿児島県で創業した嘉之助蒸溜所も、そんな新鋭蒸留所のひとつだ。
オーナーは1883年から鹿児島で焼酎造りを行う小正(こまさ)醸造。蒸留所名の嘉之助は、地名ではなく同社の二代目にあたる小正嘉之助の名前から。吹上浜を見下ろす美しい蒸留所に冠されたこの名にこそ、歴史ある焼酎メーカーとウイスキーとを結びつけた運命的な理由が秘められている。