三宅一生ディレクションによる「132 5.ISSEY MIYAKE 」 の研究開発から、進化した新たなメンズ服「IM MEN(アイム メン)」が発進。
テクノロジーの進化や世界的な気候変動など、日々激変する生活環境の中、あらゆる面において新たな価値観が広がりつつある現在、衣服に対する考え方もまた更新のさなかにある。
たとえばファッションブランドが創造の過程において環境や資源に配慮する視点をもつことは、いまや〝当然〞の前提として求められるようになったが、そうした認識や態度が広く共有されるはるか以前から、三宅一生は「10年、20年先」の未来を見据えた先進的なアプローチを続けてきた。
優れたプロダクトのように、 機能と美を兼ね備える男服。
2007年に「Reality Lab.(リアリティ・ラボ)」チームを立ち上げて取り組み、10年にブランドとしてスタートした「132 5. ISSEYMIYAKE(イチサンニーゴー イッセイ ミヤケ)」では「再生・再創造」というテーマを掲げ、改良を重ねて開発した再生ポリエステル生地を中心に、折りたたみの数理に基づく3次元造形のパターンによる先鋭的な衣服の美を表現してみせた。
レディス服が中心だった「132 5.ISSEY MIYAKE」での10年以上にわたるリサーチとスタディで積み上げた膨大な成果を発展させ、今年2月、三宅一生と彼のスタッフが「MDS(ミヤケ デザイン スタジオ)」から新たなメンズ服ブランドを送り出す。ブランド名は「IM MEN(アイム メン)」。自由な発想と実験的プロセスを通じて生み出されるのは、現代的なライフスタイルのシーンに溶け込む「道具」。プロダクトとしての機能性・実用性と洗練された美しさを兼ね備えた「革新的な日常着」とも言うべき衣服である。
着心地がよく、快適であること。ケアが容易であること。簡単に収納できること。持ち運びに便利であること。現代の生活環境の中で求められる多様なニーズを解決し、かつ着る者の暮らしに喜びや発見をもたらす服。その実現のプロセスはまさしくプロダクト・デザインの手法にも近い。再生や植物由来のポリエステル素材、またそれらを綿や和紙など多彩な素材とブレンドした、軽く、シワになりにくい生地。こうした生地それぞれがもつ特性を熟知し、考慮した上で、そこから折り構造とパターンが導き出され、衣服のデザインが生まれていく。
追求するのは着心地のよさだけでなく、収納や移動といった日常生活の場面における機能性にもおよぶ。生地表面にプレスされたラインに沿って折りたたむことで収納を容易にする。あるいは、形状が立体的に変化し、脱いだ後も手をふさぐことなく両肩にかけて携行できるコートなど、新鮮な驚きや楽しさがありながら、しかもその工程はあくまで簡潔で容易であるよう、徹底的に考え抜かれている。
実用性の観点から生み出されたデザインは表面的な装飾を廃したもの。そのシンプルでタイムレスな美はまさしく優れたプロダクトだけがもつそれであり、高い汎用性を備えている。家の中で快適に過ごせるカジュアルさと、そのまま外出しても十分に機能する美しさを両立した日常着。そこには人間の暮らしと社会、環境に目を向け続けてきた三宅のものづくりの精神が確かに息づいている。
問い合わせ先/イッセイ ミヤケ
TEL:050-3066-0622
www.isseymiyake.com