遠目には無地に見えるのに、近づくと美しい紋様の精緻な柄だとわかる江戸小紋。これは、江戸時代の武士の裃に使われた柄が町人にも広まったもの。伝統的な技術を受け継ぐ廣瀬雄一さんに、5月に発売となるAudi A3の限定モデル、Audi A3 techno limitedのユニークなキャンペーン・グラフィックをご覧いただきました。
JR中野駅から車で5分ほどの廣瀬染工場は、東京23区内に位置することが信じられないほど伝統的な佇まい。築100年という作業場で、廣瀬雄一さんが黙々と手を動かしています。廣瀬さんが4代目として技術を受け継ぐ江戸小紋は、江戸時代に武士の裃の紋様に使われた型染めです。
「華美な装いが禁じられたことで、遠目には地味に見えつつ実は凝っている柄の江戸小紋が生まれ、やがて町人にも広まりました」
学生時代から家業を手伝っていた廣瀬さんは、大学卒業後に本格的に型染めの世界へ入ります。そこで感じたのは、日本のデザインの奥深さ。
「紋様の型紙は伊勢の職人の方が手作りしますが、ここには約4000の柄と1万枚以上の型紙があります。色彩感覚も非常に繊細で、茶色だけで48色、鼠色にいたっては100色もあるんですよ」
伝統的な技法を守りつつ、ストールなど新しいアイテムにも挑戦する廣瀬さんは、キャンペーン・グラフィックをひと目見た瞬間に、「これは日本の伝統的な紋様をベースにデザインされていますね」と見抜きました。
「タイヤとステアリングホイール、バーチャルコックピットを組み合わせた柄は、青海波という古典柄がモチーフとなっています」
Audi A3 techno limitedの装備をしっかり見せるためのグラフィックだと聞いて、廣瀬さんは納得した様子。
「興味深いのは、青海波の波を2つ並べることで、遠くから見ると縞模様に見えること」
この柄でトートバッグもつくると伝えると、「古典柄とデザインを深く理解していないと生まれないアイデアですね」と、感心されました。
ホイールを中心にして周囲にパーツを配置した柄は、「菊菱がベースだと思います。当時は菊の図柄だけで400種類以上あったと言われるほど、ポピュラーなモチーフ。これは自分で染めたくなりますね」
廣瀬さんは手にしたグラフィックを見ながら「これは麻の葉がモチーフですね」とひと言。古来から使われている古典的な柄とのことで、「このまま麻の葉の柄として、着物の染めに使えそう」と、完成度の高さに感心していました。
もうひとつ、マトリクスLEDヘッドライトやバーチャルコックピットを組み合わせて三叉の意匠にしたグラフィックについては、「これは毘沙門がベースになっていると思います」。七福神の毘沙門天の着衣に用いられることからこの名が付いたそうです。
Audi A3は、時代をリードしてきたプレミアムコンパクトのパイオニア。その新たな歩みとして、多彩なラインアップを取り揃えたAudi A3 techno limitedが限定発売されます。大のクルマ好きだという廣瀬さんは、「信頼できる純正部品で、人とは違う愛車に仕上がるのは嬉しいですよね。江戸小紋も、他の人とは違う自分だけのこだわりがある着物に仕立てるために進化した側面があります」と、アウディのクルマと江戸小紋との意外な共通点を見つけ、興奮した様子でした。
●Audi A3 techno limited www.audi.co.jp