創刊以来、クリエイティブな人々や作品に注目してきたPenが、その一年を代表する日本のクリエイターをたたえる賞を創設しました。さまざまなジャンルから10組のクリエイターを選出し、発売中の本誌12月15日号で特集。そして銀座 蔦屋書店 イベントスペースにて、12月1日に授賞式、12月1日から3日に展示イベントが開催されました。
時代を切り拓くクリエイティブな人々や作品に注目、特集をつくり、広く伝えてきた雑誌「Pen」が、その一年で最も活躍したクリエイターをたたえる賞「Pen クリエイター・アワード」を創設しました。ファッション・デザイナーやアーティスト、写真家、俳優など、さまざまなジャンルから10組のクリエイターを選出し、2017年12月15日号で特集。12月1日、GINZA SIXの中にある銀座 蔦屋書店 イベントスペースにて、第1回の授賞式が開催されました。会場には読者をはじめ約100人の招待客が見守る中、受賞者が登壇。思いがけない発想や豊かな表現力で私たちをワクワクさせてくれた、輝ける才能を祝う一夜となりました。
2017年を象徴する、日本のクリエイター10組が集結。
会場が熱気と高揚感に包まれる中、安藤貴之・Pen編集長による挨拶で授賞式がスタートしました。「Penは1996年の創刊以来、一貫してクリエイティビティに対する愛情、敬愛をもちながら誌面をつくってきました。人が生み出すクリエイティビティには社会を変えるチカラがあり、社会を成長させるチカラがあると信じているからです。今回は読者の方々に、より立体的にクリエイターのメッセージを届けたいとの思いから、このアワードを設立しました」と安藤編集長。アートや映画、建築、ファッション、食、旅などジャンルを超えてさまざまな特集を組んできたPenが、未来の扉を開けてくれるクリエイターたちにエールを贈るべく創設したのが、このアワードなのです。
司会者からの紹介とともに受賞者が登壇し、安藤編集長から一人ひとりに「Pen クリエイター・アワード 2017」の賞状が手渡されます。ファッション・デザイナーの森永邦彦さんは、ロール状に巻いたデニムにドリルを当てて彫刻のようなドレスを制作、パリのファッションウィーク中に披露されたコレクションで多くの観客を沸かせました。アーティストの岩崎貴宏さんは、第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展で日本代表作家に選出され作品を発表、世界的に高い関心を集めています。フォトグラファーのヨシダナギさんは、アフリカの少数民族をファッショナブルに撮影し鮮烈な印象を与えました。彼らの感性は国境を越えて、世界へと羽ばたき続けています。
授賞式に駆けつけられなかった詩人の最果タヒさんは、LINE上で安藤編集長とメッセージをやりとりし、受賞の喜びを発信。「今年最も輝いたクリエイターとして選んでいただいたことは、私にとってとても光栄なことでした。いまという時間に、私の書いた言葉が存在することができて幸福です」とコメントしました。デビュー2年目にして快進撃を続けるミュージシャンのSuchmos(サチモス)は、ビデオメッセージでその声を届けてくれました。
アーティストから俳優まで、多彩な受賞者が話題に。
「Pen クリエイター・アワード 2017」の10組の受賞者とともに、当日のサプライズとして女性誌「フィガロジャポン」の視点で選んだ特別賞が発表されました。受賞したのはパリコレクションをはじめ世界のランウェイで活躍し、フィガロジャポンのファッションページでもお馴染みのモデル、福士リナさん。上野留美・フィガロジャポン編集長の発表を受けて、福士さんが颯爽と登場しました。「フィガロジャポンはファッションだけでなく、ライフスタイル全般までお洒落でありたい読者に向けて誌面をつくっています。国内外を問わず活躍するクリエイターに、今後も注目していきたいです」と上野編集長。
私たちが普段何気なく目にしている広告や映像を成功させるものは、クリエイターたちの斬新な発想や熱い思いではないでしょうか。3Dプロジェクションマッピングの総合演出で著名なクリエイティブ・ディレクターの村松亮太郎さんは、日本のさまざまなところでアーティスティックな空間を創出。クリエイティブ・ディレクターの原野守弘さんは、「レッドブル・ミュージック・フェスティバル 東京 2017」の躍動感あふれるグラフィックをはじめ大胆なプロモーションで話題に。また映画監督の長谷井宏紀さんは、フィリピンで撮った長編デビュー作『ブランカとギター弾き』で、ヴェネツィア国際映画祭をはじめ数々の映画祭で賞を受賞しました。長谷井監督自らがつくり出した物語が、世界中に感動を与えています。
2017年、大活躍した俳優たちも選出されました。まっすぐでひたむきな演技が多くの視聴者の支持を得ている女優の土屋太鳳さんは、これから公開・上演される映画や舞台が目白押し。「2018年はいろんなことに恋をする1年にしたい。素敵な出会いに素直に感動して、心の可動域を広げていきたいです」と、抱負を語ります。また俳優の高橋一生さんは、Penを愛読しているとのこと。「興味のある特集が多くて、よく読んでいます。僕がクリエイター・アワードをいただいたということは、僕を支えてここまでつくってくださり、俳優として立ち上げてくださったスタッフ、共演者、そして観てくださっている皆さんがいたからだと思います。その方たちに、この場を借りて心より感謝申し上げます」とコメントしてくれました。
クリエイティビティの面白さを伝える、立体的な展示イベント
上からつり下げられたクリエイター・アワード受賞者の大きなポートレートや壁面に投影される紹介映像が、大きなインパクトを放った授賞式会場。授賞式翌日の12月2日、3日の2日間は、2017年の顔といえるクリエイターのこれまでの足跡を、関連書籍や映像、サインボードなど立体的な展示で紹介するレイアウトに変更。異業種のクリエイターたちの活動が一堂に会することで、新たな発見が生まれるような展示空間でした。この授賞式会場と展示空間は、デザイン事務所のトネリコによる設計です。
会場を取り囲む壁の一面には、Penが取材時に撮り下ろした受賞者のポートレートとプロフィールを掲示。それぞれ本人直筆のサインが添えられ、注意深く眺める来場者が多数見受けられました。
また会場の一角にiPad Proを設置して、受賞者の紹介映像を自由に見られるように。人々が寛ぎながらクリエイターたちの作品を楽しんでいました。来場された方たちは、この機会にワクワクするクリエイティビティの世界に触れられたのではないでしょうか。
※2017年のPen クリエイター・アワードを受賞した10組については、Pen 2017年12月15日号 No.442「今年最も輝いた、クリエイター10組。クリエイター・アワード 2017」で特集しています。