「自分の作品に関わるすべてに血が通っていないと満足できない」。常田大希が本誌へのインタビューで語った言葉だ。その発言を証明するかのように、「Pen クリエイター・アワード 2020」特集の取材では、常田自らが撮影チームとアイデアを練ったフォトシューティングを敢行。誌面では紹介しきれなかった、貴重な記録を特別公開する。
「ポップスターとかロックスターに興味があるのかと訊かれたら、それは特にないんですよね」
「カッコいいものをつくって世間に問うのがアーティストだと思って憧れていたから、いまもそれをストイックに実行しているだけ」
「クリエイティブ中心のスタイルがもっと浸透して、当たり前になってほしい」
10月某日、多忙を極めるスケジュールの中、スタジオに姿を現した常田大希。この日の撮影は、白ホリゾントにプロジェクターでさまざまなビジュアルを投影し、その中に常田自身が身を置き被写体になるというもの。1枚目の写真は、millennium paradeのシングル「Philip」のミュージック・ビデオでも登場する“歌詞”を使用。楽曲がもつ世界観と融合したポートレイトは、別の表情を捉えたカットがPen本誌の表紙でも掲載されているのでぜひ確認してみてほしい。2枚目の写真は、撮影現場で撮り下ろした常田の表情をアップで投射。そこに立つ常田本人の顔には影が落ちる一方で、上半身に映し出された鋭い眼差しが見る者の心をとらえる。その他のカットも、時に偶然生まれる瞬間を求め、時に緻密な調整を行い、クリエイティブチームとの連携を取りながら撮影は進んだ。ここで掲載している写真は、常田大希の頭の中を具現化したクリエイティブの結晶と言える。