THOM BROWNE / トム ブラウン

2020年 春夏 メンズ・コレクション

アメリカ最大のバレエ団「アメリカン・バレエ・シアター」の主要ダンサーにして、ドラッグクイーンとしての一面も持つジェームス・ホワイトサイドが、チュチュのようなスカート姿で踊るシーンで幕を開けたコレクション。2019-20年秋冬シーズンと同様に、女性服を男性に着せたり、女性的なアプローチでエロスを表現する試みが行われている。タイドアップした男性が生脚を突き出したり、スーツのボトムの上に股間を守るファールカップを被せたり、刺激的な表現のオンパレードだ。その後コレクションは、1960年代のアイビールックをファンタジーな造形に変貌させる、トム ブラウンお得意の手法に移っていく。どのルックもアートの領域に達する迫力だが、極めてユーモラスでもある。ショーの冒頭から観客を楽しませ、最後まで観る者を引き込む凄みは写真ではなかなか伝わらないだろう。ぜひ動画にアクセスして体感していただきたい。