THOM BROWNE / トム ブラウン
2020-21年 秋冬 メンズ・コレクション
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顔を隠した男女の
スカート姿からスタート -
男女が同じ服装でも、
それぞれの魅力が引き立つ。 -
女性に紳士服を着せる、
独自のアプローチが巧み。
男女の服装の区別をなくすジェンダーレスのムーブメントがメンズモード界で広がっている。トム・ブラウンも今季のショーで、男性同士のカップル、女性同士のカップル、男性と女性のカップルを登場させ、二人に同じ服装をさせた。彼の提案には、他のデザイナーと大きく異なる独自性がある。他の多くが“男性にフェミニンな服”を着せるのに対し、ブラウンは“女性に男性的なテーラリング”を着せてみせた。女性の外見に映える、身体にフィットしたワンピースやブラウスを男性が着ても、いわば「女性になりたい願望」に見えがちで、幅広い層の共感を得るのは難しい。男女の装いの平等は、女性が男性服を着ることでも成り立つのだ。ショーの冒頭では顔を隠した男女がプリーツスカートを穿き、性差を曖昧にして見せた。そのあとのカップルスタイルでも男性が女性的な服を着た姿もあるものの、女性側にアプローチする巧みな提案こそ、今回のコレクションのハイライトといえるだろう。