噂の“バズピ”、Kaitoのまっすぐな眼差しを、世界最小のフルサイズミラーレスカメラ「α7C」が捉えた。
先月ソニーから発売された、世界最小最軽量(※)のフルサイズミラーレスカメラ「α7C」。プロのフォトグラファーとしていち早くαシリーズをフル活用してきた高木康行さんが、Pen Onlineの新連載「バズピ」の第1回をそのα7Cで撮影した。
ミラーレスカメラ市場を牽引するソニーのα7シリーズは、2013年に初代が発売して以来、11種ものフルサイズミラーレスカメラを発売してきた。そのいずれもが、ファインダーが上に大きく出っ張った特徴的なデザインを踏襲。だが今回のα7Cは、その出っ張りをなくしたレンジファインダー型のデザインとなり大きく刷新された。「コンパクトさを重視してきたソニーならではのデザインが、ついにフルサイズカメラでも発揮されたましたね。機能をほとんど削らずここまで小さくしたのはさすがです」と高木さんもまずはそのデザインとサイズを評価する。
※光学式ボディ内手ブレ補正機構搭載のカメラにおいて
10月23日、雨。まさにα7Cの発売日に撮影は行われた。モデルは、ロックバンド「インナージャーニー」のドラマーで、モデルや俳優としても活躍しているKaito(カイト)さん。箱から開封したての真新しいカメラで、そのフレッシュな眼差しを捉えた。
「こんな雨の日でも、機動力をそがれずに撮影できるのが魅力です。僕は雨の日にはカメラに防水カバーをかけて撮影することが多いのですが、出っ張りのないこのデザインはカバーもかけやすい」と高木さん。コンパクトで軽いだけでなく防滴防塵にも配慮された設計だから、悪条件でのタフな撮影にもとことん付き合ってくれるカメラといえる。
サイズのために犠牲にした機能は、ほとんどない。スペックとしてはひとまわり大きいα7Ⅲとほぼ同等だ。そのひとつが、ジャイロセンサーと補正ユニットによる高精度な手ブレ補正。焦点距離が長くなるほど起こりやすい角度ブレに加え、マクロ撮影時などに顕著に現れるシフトブレ、夜景撮影時や動画撮影時などに目立つ回転ブレの5軸でブレを検出し、高い補正効果を発揮する。静止画撮影中は手ブレ補正が効いたライブビュー映像で確認できるため、望遠撮影時やマクロ撮影時でも快適にフレーミングやピントを合わせられる。今回のような歩きながらの撮影でも、ほとんどブレることなく被写体を捉えてくれた。
αシリーズの最高位機種α9などプロフェッショナル機に搭載されている“4Dフォーカス”も、特筆すべき点だ。広い範囲にすばやくフォーカスし続けることで、ピント合わせが難しいシーンで被写体を瞬時に捉えてくれる。暗いシーンや被写体の動きが速いシーンでも被写体をスピーディーに捉え、複雑な動きやスピードに緩急のある動体に対しても、高い精度でフォーカスを合わせ続けられる。「フォーカスの速さと正確さには驚かされますね」と高木さんも手応えを感じていた。
また、AIを活用した「リアルタイムトラッキング」も撮影の大きな味方だ。静止画・動画を問わず、狙いたい被写体を指定しシャッターボタンを半押しすると、色、模様(輝度)、被写体距離(奥行き)からなる空間情報をリアルタイムに高速処理し、カメラが自動で追い続けてくれる。AF時の顔/瞳優先を「入」にしておけば、リアルタイムに顔/瞳情報を検出し続け、横顔や正面など被写体の状況に応じてフォーカス範囲を変化させることも可能だ。
撮影を終えた高木さんは、「コンパクトだけどグリップ感はしっかりしています。手ブレ補正も強力なので本当に撮影しやすいカメラですね。小さいカメラは被写体を萎縮させない効果もありますし、シャッター音も控えめでいい。Kaito君の表情をうまく引き出せたのではないでしょうか」と総括。「今回は『Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 』という、α7シリーズ初の単焦点レンズをつけて撮影しましたが、α7Cと本当に相性がいいと感じました。このレンズも軽いので、完璧な組み合わせではないでしょうか」。
フォトグラファー界で随一のα使いも納得のフルサイズカメラだ。
動画性能にも妥協はない。今回のスチル撮影の模様を、スタッフが4K動画で撮影した。傘をさしながら片手でという不安定な状態での撮影だったが、トラッキング機能により常にフォーカスをKaitoさんの顔に合わせてくれている。85mmF1.4というピントの合う範囲が極めて少ない明るいレンズをつけていたにもかかわらず、常に正確にピントが合っていた。