二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,...

二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。

二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。
二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。

飲食業界で働き方改革が叫ばれる中、イタリアンやフレンチ、居酒屋まで、人出不足や長時間労働の壁を乗り越えて、理想の働き方を実現する店主たちが増えてきている。
そんな中、古来からのしきたりや伝統が多く、長い期間の修行時間を要する和食の世界は、少しだけ足踏みを続けている現状だった。

割烹と並ぶ和食の華、鮨の世界でも、デリケートで高額な材料と常に向き合うため、二番手を含む若手がカウンターに立つことは少なく、まして客の目前で鮨を握ることなど言語道断。しかし、握ったこともない高価なネタについて学ぶことは指南の技に違いない。
客たちの多くも、親方とのやりとりと技に焦がれて有名店の扉を叩く訳だから、結果として、高級鮨の世界は常に客と親方だけが対峙する場になる。

そんな中、若いソムリエの明日のために高価なワインを少しだけ残して帰る客のように、未来の巨匠である若手たちにチャンスを与えるチャレンジが、鮨の世界でも少しずつ始まっている。
発端は、六本木で江戸前の原点に根ざした鮨の本流を守る「鮨由う」。毎月、若手職人が握るランチイベントを開催しているという話を聞いた「鮨とかみ」の大将小田(将太)氏が、取り組みのコンセプトに感銘を受けて定期的な開催を決意する。

この企画はもともと、飲食に特化したクラウドファンディングを通して、食べる人と、つくる人を繫ぐ「HAYARUKA」のプロジェクトとして生まれた。
若手の技術向上、モチベーションUPを通じて、鮨業界のみならず飲食業界全体を盛り上げようという試みだ。そのため、ランチ代はお会計ではなく、支援料として支払われることになる。
何れにしろ客たちにとっては、名店の味をリーズナブルに味わえる上に、未来の巨匠にも巡り会える絶好のチャンスだ。

しかも「鮨とかみ」では、若手育成を支援してくれる客への感謝として、通常のランチコースではお目にかかれない特級ネタ、マグロ大トロ、ウニ、ノドグロを出してくれるという。当然、限られた10席は速攻で埋まったが、これからも月2回定期的に催されるというから、こまめなチェックが必要だ。
まずは、記念すべき第1回の至福の時間をご紹介しよう。

二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。
二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。

幸せなランチは、澄み渡ったクエのお椀から始まった。椎茸と青菜が添えられ、薄い緑色のビタミン大根が具を覆う。
思わず一気に飲み干すと、しっとりとした「ヒラメ」が登場する。端麗な白身の魚と、「鮨とかみ」ならではの赤酢をアグレッシブなまでに使ったシャリが独特のコントラストで目に飛び込んでくる。

米は大粒でミネラルが豊富な山形「はえぬき」の棚田米。しかも、実と表皮の間の旨味を削ぎ落とさないため、専門家に精米を依頼している。
酢は横井醸造の赤酢「與兵衛」と、ミツカン「特醸優選」を絶妙な配合でブレンドしたものだという。

白身に続いては、さらに純白な「アオリイカ」。大きなアオリイカを薄く3枚に引いて、細切りにし、先ほどまで俎板の上に一貫分ずつ盛られていたものだ。いつもの大将が横でネタの準備をしている姿も微笑ましい。
丁寧な仕事が施されたアオリイカは、本来の甘みが増し、砂糖を使用しないシャリと味のコントラストを高め合う。

そして、いよいよ「鮨とかみ」の真骨頂、マグロタイムの時間だ。

二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。
二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。

まず登場するのは、板場に立った途端に、本日の主役和田(駿友)くんが切り出していた、マグロ赤身の「づけ」だ。
毎朝、市場に足を運んで仕入れるマグロは、全国各地の高級鮨店から引き合いが殺到する鮪専門仲卸「やま幸(ゆき)」から仕入れられる味の強さが際立つ最高級国産天然本マグロだ。
もはや、ここで終わってもいいと思ってしまう程の「づけ」の味わいは、このインパクトあるシャリがマグロのために仕込まれていることを実感させる。

続いて登場する「中トロ」は、通常の店の大トロを凌駕する勢い。脂が爽やかで、しつこさを全く感じさせないままに、シャリと渾然となって口中に溶けて行く。
そして、「大トロ」。もはや、カウンターを囲んだ全員が言葉を失って、ただ口だけを動かしていた。シャリの上で解けかけている大トロは、河岸を代表する目利きと、その旨さを極限まで引き出す職人たちの誇りで輝いていた。

二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。
二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。

マグロ3本勝負の余韻を引き締める「コハダ」は、〆の度合いが絶妙で、コハダ本来のエグさや香りをすべてプラスの方向に引き出しながら、持ち味そのものは残しつつ、見事に後半戦へのイントロダクションになっている。

続いては、火の入れ方が素晴らしいクルマエビ、上品な脂がたまらないブリ、江戸前ならではの仕事が嬉しい、どこまでも柔らかな煮ハマグリと人気の役者たちが続く。
しかし、このコーナーを締めくくる鹿児島のアジには誰もが目を見張った。爽やかな香りでありながら、熟成した濃厚な旨味が口中を満たし、青魚を食べている至福に包まれる。

「ウニ」は軍艦でも、握りでもなく、その場でシャリとさっと合わせられたウニ飯。添えられたのは、「鮨とかみ」の名物の1つでもある「マグロ(突先)のコラーゲンスープ」だ。
突先とは、マグロの頭の付け根部分。いちばんよく動かすと言われる尻尾同様、最も味が濃い部位。
スープは、その筋部分をゆっくりと煮出したものだ。

二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。
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ここで、今日のスペシャリテの1つ、「ノドグロ」が登場。マグロとは異なる豊穣な脂の甘さと柔らかさに酔いしれていると、さらに柔らかな「アナゴ」が幸せなダブルパンチを仕掛けてくる。

そして、本日のラストを締めくくるのは店の名物「マグロ突先の手巻き」だ。
最もマグロの味が濃厚な部分に、アグレッシブな赤酢のシャリと海苔の香りが包み込む。
デザートとしての「卵焼き」は、表面がキャラメライズされていて、イタリアンの趣き。
ここでようやく、今回の若手ランチが終わる。

最初は緊張でカチカチだった和田くんも、後半少しずつ笑顔を見せるようになってきた。
でも、無理してトークを挟もうとすると、握りを出す順番を忘れそうになったりして、また緊張して沈黙。
すると、横から大将がジョークを突っ込む。いつもとは違う店の風景は、とても温かくて和やかで、飲食業界の明るい明日を覗き見しているようだ。

大将も、若手も、客も微笑みでいっぱいになる、こんなランチの機会がどんどん増えて欲しい。帰り道、誰もが感じていたはずだ。

今度のスケジュールが発表されたら、一刻も早い参加表明が必至だ。

二番手にチャンスを!ミシュラン星付き 銀座「鮨とかみ」の味な挑戦“8,800円ランチ”とは。
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銀座「鮨とかみ」若手職人が握るランチイベント
hayaruka.jp

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