OAMC×adidasのスニーカーがカナダから届いた。シャワーキャップに包まれて。
箱からスニーカーを取り出し思わず、
「シャワーキャップかよ!」
ニヤニヤしちゃいましたよ。
アディダスの通常品とは一線を画す、カバーでしっかり守られた特別モデルです。
おお、カッコいいぞっ。
カナダのラグジュアリーECサイトにオーダーして、到着を待ち望んだ甲斐あり。
アッパーと同素材のインソールも、こだわりが感じられる仕上がり。
左右に振り分けたちっちゃな両者のブランドロゴが、足を入れるときにチラ見えするくらいのさりげなさがステキ。
余白を活かす “ワビサビ” 発想は、OAMCデザイナーのルーク・メイヤーらしいセンスです。
さすがはジル サンダーのディレクションも手がける人物。
adidas Originals by OAMC「Type-O8」の靴箱は、深さのある贅沢な特別品。
上部にエンボスされた地味めな白ロゴも、和モノに通じるエッセンス。
靴紐はすでにスニーカーに通されてますが、色も長さも同じものが2本同梱。
替え紐じゃなく予備なんです。
履き込んで靴紐が古ぼけたとき、新品に交換すればスニーカーの表情が爽やかに戻りますから。
長く愛用されることを想定して “心” も込めたコラボスニーカーなんて、モードブランドとは思えないニクさ。
1950年にサッカーシューズとして誕生してモデルチェンジを繰り返したSAMBAは、アディダスの最古参のひとつ。
ここではディテールが大きく変えられ、温故知新な一足へ進化しました。
ソールは横に張り出したプロテクト仕様になり、流行のゆったりとした服に合うボリューム感にアレンジされてます。
サイドの3本線はタフなナイロンテープになり、中央にジグザグステッチが掛けられました。
デニムにつくタブのような、トゥ部分の四角い水色はプリント。
意味なく思えてこれがあるのとないのとでは、コンテンポラリーな印象が大きく異なります。
(指で隠して確かめました。ないと野暮ったくなる)
小さなアクセント、されど重要なパーツ。
静かな池の水面に、さらりと落ちた一枚の花びらのごとく。
オリジナルのサンバにもあるステッチがここでも採用されてます。
外側に曲がるから履くときにすごく楽。
足首も自在に動かしやすいし、どのスニーカーも取り入れてほしいですねえ。
ワントーンで揃えるローテクスニーカーの流れをつくった先駆的ブランドは、コモンプロジェクツだと記憶しています。
もう10年以上前の話。
その頃すっごくハマって買い漁ってましたね。
3~5万円ほどもしたから、探してセールを狙って。
このType-O8のヒール外側の刻印も、コモンプロジェクツを彷彿させます。
軍モノのスペック表記インスパイア系です。
さて、
話をadidas Originals by OAMCに戻しまして。。。
以前に入手した、別色のType-O8も参加させましょう。
いえ……違うんですよ!
別にコレクターじゃないんですって。
「全色買いって、あんたアホ?」と聞かれば、「そーですね」と答えますけども。
(OAMCのECサイト限定オールホワイトモデルは入手せず)
どの色にも異なる個性を感じ、自分定番として長年愛用する前提で一足ずつ買い足していきました。
Type-O8にはいま自分がスニーカーに望む要素がぎっしりと詰まっており。
その要素とは、
1. OAMCである。
2. シンプルなローテクモデルである。
3. モダンながらトレンドすぎない。
OAMCのシューズデザイン力は世界最高クラスと思ってます。
なにか一足はほしいとずっと思っていて、今回が最適だったというのが最大の理由。
英国「オックスフォード大学」で経営を学んだインテリで、
その後に米国のファッション大学「FIT」に通った異色の経歴のルーク・メイヤーには、まだ会ったことがありませんが憧れの存在。
ただ彼の服は高価すぎて正直なところコスパが悪いと思ってます、私の財力では。
ストリートとモードの狭間にある服が似合う自信もありませんし。
Type-O8は日本での通常販売価格が、税抜25,000円。
これなら何とか、と思えるのに加え、
OAMCが知る人ぞ知るマイナーな存在だからでしょうか、または外出自粛の余波を受けてでしょうか、
売り切れなかったようでシーズン終盤にセール価格になりまして。
21年2月5日(金)の現時点でもネットを探せば、「え、こんな?」な価格で入手可能です。
(サイズは限られます)
タイトめなつくりで、私は通常より1〜1半サイズ大きめでフィット感がちょうど良かったのでご参考までに。
ファッションメディアの仕事目線ですと、約1年前はスニーカーよりドレッシーな革靴に気分がシフトしてましたが、
巣ごもり生活で世の中も、自分自身もテンションがガラッと変わってしまいました。
心も身体も楽なスニーカーを再び履きたく、でもダッドモデルもハイテクモデルもいまやトゥーマッチ。
「ローテクがいいけど、ベーシックじゃ面白みが……」という落とし所にType-O8がちょうどよくて。
最初に無難なブラックを、次にカジュアルなホワイトを、そして今回オリーブドラブをゲット。
でも実は初めから、オリーブドラブがオブジェクトとしてもっとも魅力的と思ってました。
(軍モノ好きですし)
ただ、いいおっさんの私が履くと服装全体がどんよりとした印象になりそうなので、実用面から購入せずにいました。
ですが割安品をネットで見つけてしまい思わずポチッと。
やっぱ買ってよかった。
似合わなくてもいいや。
気分が上がる。
現在の社会情勢ではそんなことも大切だと思ってます。
それでは最後に、ひとつ自己宣伝させてくださいませ。
私が手掛けているPen Onlineのファッション連載「着る/知る」が、先日Vol.100を迎えました。
「アニバーサリー記念になんかやらせてあげる」
と担当編集の方に言っていただき、エッセイを書くことに。
デイリーな服装について、同世代の中年男性にお話しする内容。
想定した相手は、
●現代のファッションにあまり詳しくない人。
●自分に自信を持ちすぎていない人。
●若い頃に学んだ男っぽさで服を選んでしまう人。
お洒落人だけが読むファッション誌では口にされない、2021年現在の大人のスタイルを実体験を交えて紹介しました。
アンチコンサバ、アンチエイジングをご提案しています。
なるべくカッコつけず、誰でも読みやすく書いたつもりです。
担当編集者さんから(2月付でフィガロ編集部に異動! 泣)、
「思いをしっかり語りましょう」
と提案され、私物を自分で撮影するフォトエッセイの形になりました。
ぜひチラ見して興味を持つ項目でもあれば読んでいただけると、時間を掛けて記事をつくった甲斐があって嬉しいです。
後悔はさせません。
(う〜む、たぶん……)
フォトエッセイ:いますぐ服を着替えたくなる、5つのストーリー
写真 © 高橋一史
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