さすが JWアンダーソン!UKアイドル着用ニットの編みかたを、ダウンロードで無料公開。
JW Anderson Coulour block Patchwork Cardigan / Knit Pattern
www.jwanderson.com/jp/cardigan-pattern
今回のエピソードは、
「ヨーロッパのファッションデザイナーも粋なことやるなあ」
って話です。
そりゃアパレル産業はあんなこと、こんなこといろいろあり、
「スゴいビジネスだねえ」って思うところ多々ありますけども。
(意味不明の言葉濁し)
やっぱりこの人、北アイルランド出身のファッションデザイナー、ジョナサン・ウィリアム・アンダーソンは一本筋が通ってる気がします。
・手仕事でモノをつくること。
・つくる人を尊敬すること。
・世間にモノづくりの素晴らしさを伝えること。
2008年にメンズウエアでデビューして、13年に29歳にしてスペインの老舗ロエベのディレクターに就任するほど実力が評価され、日本でもユニクロとのコラボで名が知られるスターデザイナー。
私はお会いしたことがなく(イベント会場で何度か目にしたことがあるだけ)、彼の内面まで語れる資格は持ち合わせていませんが、
少なくともアンダーソンの姿勢や表現にブレを感じたことがないんですよ。
ヤらしい感じがしません。
(エロって意味じゃないです。この人の表現にエロはたくさんある)。
そのアンダーソンが自身のブランドの公式サイト上で、ボーイズグループ『ワン・ダイレクション』のメンバーのハリー・スタイルズの演奏写真と共に、以下のようなコメントを出しました。
A gift from Jonathan to all our TikTok Cardigan fans: “I am so impressed and incredibly humbled by this trend and everyone knitting the cardigan. I really wanted to show our appreciation so we are sharing the pattern with everyone. Keep it up!” x – Jonathan
ジョナサンからすべてのTikTokカーディガンのファンへの贈り物: 「私は皆がカーディガンを編んでいるこのトレンドに感銘を受け、とても光栄に思っています。 真摯に感謝の意を表したく、パターンを皆と共有しようと考えました。がんばってください!」 - ジョナサン ※拙訳
きっかけは、ハリー・スタイルズが着たJWアンダーソンのカーディガンを再現しようと手編みする人が現れ、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」でハッシュタグ#harrystylescardiganをつけて投稿したこと。
次々に参加者が増えていく中で、この出来事を知ったアンダーソンが感激して協力を申し出たのです。
デザイナーが著作権を主張せず、モノづくりを愛する民衆の心に寄り添う、消費社会への小気味いいアンチテーゼ。
ハリー・スタイルズはカーディガンが似合い自身の一部にしてますから、この服に憧れてつくる人はたぶんデザイナーズだと認識してないと思うんですよ。
ハイファッションが時間を掛けて人々の意識の奥底に浸透し、社会に影響を与えていくのは、こうした積み重ねあってこそ。
女優オードリー・ヘップバーンが映画『麗しのサブリナ』『ティファニーで朝食を』などで着た衣装が、一流デザイナーのユベール・ド・ジバンシィの手によることを知る人は限られます。
男のスーツ姿をスタイリッシュに見せたマフィア捜査官映画『アンタッチャブル』の衣装がジョルジオ・アルマーニだということはもっと知られていないでしょう。
でもいちばん重要なのは、「素敵な服装であるか」。
「誰が着ているか」よりも、「誰がデザインしているか」よりも。
TikTokを眺めると、スタイルズよりイケてる印象の女の子もいますからワクワクしますね。
現在のモード界はセレブと結託してSNSをバズらせ、分別のない若者に大金を使わせるビッグビジネス花盛り。
大スターの男性シンガーがJWアンダーソンを着たこともかなりの宣伝効果ですから、もちろんブランドとして計算も働いているのでしょう。
でも今回はちょっと、きれいごとで話をまとめたい気分です。
同ブランドは14年に型紙ダウンロードサイトにも協力していました。
この紹介ブログを私がつくってました。以下のリンクです。
www.pen-online.jp/blog/k-takahashi/1388285209/
このサイトはまだ進行中で新ブランドも参加してます。
服飾のハイアマチュア〜プロの方々は要チェック。
Pen Onlineのブログは現在、From Creatorsと名称変更されてまして、ここでもアンダーソンの仕事を紹介しています。
www.pen-online.jp/creator/fashion/uniqlo-jwanderson-kids/1
さらに、
アンダーソンがロンドンでのショーで「クロスジェンダー」のアイディアを打ち出して話題を集めたメンズコレクションの様子も紹介。
www.pen-online.jp/feature/fashion/2013-aw-mens-collection-introduction-fashion-week-outstanding/1
このときはイギリスのJWアンダーソンから直接ショー写真を送ってもらいましたね。
Pen編集部の担当の方がダイレクトにやり取りしてくださって。
(退社したYさん、お元気ですかねー!)
さらにさらに、ファッション連載「着る/知る」でも、ロエベのアウトドアラインを紹介。
ロエベの伊勢丹でのポップアップショップの紹介も。
朝イチの各メディアの一斉取材で、来日した本人もやってきて、メディア関係者の女性たちが長身ハンサムにキャーキャー言ってました。
www.pen-online.jp/news/fashion/loewe-william-morris/1
こうして見ると、私はジョナサン・アンダーソン自身に惹かれてるんですかね !?
「…… 知らねーよ」
面倒な問いにはそうツッコんでいただければありがたいのですけども、たぶん人への思い入れじゃありません。
ファッションの世界に誠実さや品性を望む気持ちに応え、ときどき歩きやすい道を示すのが彼。
そんな存在な気がします。
ところで!
今号の記事は Fashion Snap.com さんの、
JW アンダーソンのカーディガンを手編みで再現、ティックトックで「#HarryStylesCardigan」がブームに
www.fashionsnap.com/article/2020-07-04/tiktok-harrystyles-cardigan/
を拝見して改めて自分で調べてつくったもの。
ファッションスナップさんは、丁寧な取材と記述にいつも敬服するファッションサイトです。
ぜひぜひこちらも併せてご覧くださいませ。
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www.pen-online.jp/creator