気になる! 1型4色だけの「ジャケット」受注会が、週末にユナイテッドアローズ 原宿本店で。
この受注会はもう、宮本哲明さんに会う目的で足を運ぶだけでも意義がある気がしますね。
「誰?」って、上着1型のみのローカルなブランド、「ジャケット」を手掛けている人物です。
ファッションのPRも営業もやるマルチな活動の人だからデザイナーと呼ぶのは当てはまらないかもしれませんが、ジャケットに関しては間違いなくデザイナーです。
ご本人の姿はこの記事の最後にて。
受注会が開催されるのは、ユナイテッドアローズ 原宿店。
3月20日(土)〜22日(月)の3日間です。
宮本さんが店に立ちます。
採寸するオーダーではなく、サイズと色を決める、いわゆる受注会。
オーダーした服は、4〜5ヶ月ほどで製品になり郵送されます。
「一着の服が人に着られるまでに、大勢の人が関わっていることを感じてほしい」という思いが込められたブランドの思想については店で直接尋ねていただくとして(ここで簡単に述べる話でもなく)、商品の特徴を見ていきましょう!
形のベースは、1920〜30年代のスモーキングジャケット。
スモーキングとは煙草を吸うことで、夕食後のくつろいだシーンを意味します。
19世紀のドレスウエアはコートのように裾丈も長く、しだいに動きやすいように簡易的に短くカットされました。
それがのちにパーティウエアのタキシードと呼ばれるようになるのです。
機能性に配慮されてスポーティにアレンジされた服が、次の時代のドレスウエアに移り変わっていったのが、20世紀前半のメンズファッションです。
このジャケットから漂う古着の味わいは、このようなベースから来ているのでしょう。
裏地なしの一重仕立てにすることで、ブルゾンのようにデイリーな着方に対応。
今回は生地にも特徴があり、なんと服を仕立てる仮縫いや、型紙づくりに使うコットンのシーチング布を染めたものが使われました。
服づくりが終わると廃棄されるシーチングは無染色の生成り色で、糸ムラや傷も混在する決して高級ではない布。
でも服づくりに携わり、シーチングの独特な風合いが好きな人は大勢いるでしょう。
仕事で毎日見つめて手で触れる布ですし。
ところがデザイナーズブランドだとシーチングを使ったコンセプチュアルな服が時折出てきますが、メインストリームにはなりません。
宮本さんはシーチングでつくったサンプルジャケットを何度も着るうちに、魅力を感じていったそうです。
服づくりの影に隠れた存在に光を当てるという考え方も、使った理由のひとつだそう。
ジャケットに採用した種類は、一般の布と帆布の中間的な厚みのある、カツラギ。
コットン100%で斜めの凹凸がある綾織で、薄い平織りのシーチングより味わいが上といっていいでしょう。
ジャケットのサイズ詳細は中間的な「2」ですと、
着丈76、肩巾48、胸囲116.5、裾囲123、袖丈62.5、裄丈 86.5cm。
プライスは、各¥52,800(税込)。
ファストファッション価格ではありませんが、
つくり手の話を聞けて、購入するもしないも納得の買い物体験ができるいい機会。
とはいえ、
「買わなきゃ気まずいじゃん…」
と考える人も当然いるでしょう。
(私もそう思いがちで、こうしたイベントに行けないタイプ)
でもしかし!
ご安心ください、大丈夫です。
宮本さんは買わなくてもヤな顔する人じゃないです(←言い切る)。
「見てくれただけで嬉しい」ってタイプ。
18年のファッション連載「着る/知る」のサコッシュの回にご登場いただいたときの別写真。
宮本さんは元ユナイテッドアローズ勤務で、販売歴もPR担当歴も長いお方。
いまは独立して様々なプロジェクトに関わってます。
低い声のゆ〜っくりとしたしゃべり方にも特徴あるんですけど、ま、それはいいとして、20日からの週末をお見逃しなく!
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