いまこそ、“裁縫”をはじめたい。【コロナに負けるな! いまだからできる...

いまこそ、“裁縫”をはじめたい。【コロナに負けるな! いまだからできること #10】

いまこそ、“裁縫”をはじめたい。【コロナに負けるな! いまだからできること #10】

自宅で過ごす時間が増え、身の回りのメインテナンスに時間を費やしている人は多いだろう。靴を磨いたり、PCの中身を整理したり、本棚の埃を落としたり。しかしこれまでどうしても手を出せなかったことがある。繕い。“裁縫”である。

告白すればおそらく20年以上、外れたボタンひとつ直した記憶がない。かつて母親、いまは妻。同居する女性陣に任せっぱなし。洗濯からアイロン掛けまでは人並みにこなしてきたが、裁縫だけは「できないこと」に押し込めて、これまでやり過ごしてきた。

なぜ、できないのか。というよりもなぜ、やらないのか。多様性が叫ばれジェンダーの概念が大きく変化し、リモートワークで家事分担の見直しも進むいまなのに。「裁縫は女がやるものだ」なんて、心の底で思っているのだろうか?

修繕すべきは、外れかけているジャケットのボタン、乱暴に着て外れてしまったコートの裏地、端のほつれたハンカチ……。リストはすでにできあがっている。道具は、身近なところで借りればいい。教科書なら、amazonですぐに手に入る。参考までにKindleストアで見つけた「お裁縫の基礎」(日本文芸社)は、必要なことが分かりやすく、シンプルに書かれて好感がもてた。

詳細をレポートするほどではないので結論を言ってしまうと、ジャケットのボタンは15分ほどで付け替えられた。針の穴に糸を通す際や玉留めにやや苦労したが、見た目にもいたって無難。しばらくは問題ないだろう。

とはいえ料理でいえば目玉焼き、いや、ゆで卵をつくるくらいのことだろうから、胸を張るわけにはいかない。しかし長いあいだ避けていた「できないこと」が、ひとつ消えた心地よさがある。しかも嬉しいことに、わずかでも手をかけたことで、洋服への愛着が増しているのだ。

「ちょっとした裁縫くらいはなんでもない」という男性は、世の中にいくらでもいるだろう。けれども少なくとも同じくらい、これを避けてきた人もいるはずだ。しかしそれも、変わっていくのではないか。靴を磨き、料理をするのと同じように、これからは裁縫が身近な楽しみのひとつなっていけばいいと思う。(編集IK)