ハリー・スタイルズが出演する、グッチの広告ドラマに感じる人の温もり
ファンタジーとリアル。
動きと静寂。
仕事とオフ。
スポットライトと影。
喜びと悲哀。
対極のふたつが、見事に2分04秒のムービーのなかに。
グッチの最新キャンペーンです。
BELOVED JAPANESE 16 9 HS V2
往年の深夜のトークショー番組をショートドラマにしたもの。
主演はイギリスの歌手・タレントのハリー・スタイルズと、イギリスの俳優・司会者のジェームズ・コーデン。
余計な話はたぶんしないほうがいいですね。
なによりご覧いただくほうが。
日本語字幕版はまだアクセス数が少ないですが、字幕なしの通常版は5月30日現在で約150万回再生されてます。
ファッションムービーとしては大ヒットでしょう。
宣伝アイテムは主に、ハリーが小脇に抱えているバッグ。
ファンタジーなのはその点で、著名人がトークショーにバッグを抱えて出演することはまずありません。
ハリーが着ている服も私服という設定のようですが、それもありえない。
スタイリストや契約ブランドが用意した服を着てテレビ出演するのが通例ですから。
でもそのファンタジーに違和感を抱かせないのが巧みなところ。
グッチの世界観であるレトロな1970年代の服装と番組セットとがばっちり合ってますし。
おふたりの、とくにジェームズ・コーデンの素晴らしい演技がムービーに引き込ませてくれます。
世界中がロックダウンされて移動が制限され、ファッションショーやイベントが開催されなくなり、各ブランドがムービー発信による広告宣伝に力を入れるようになりました。
ただ難しいのは、抽象的なイメージムービーだと出演者の体温が消え失せるケースが多いこと。
リアルなショーならたとえロボットのような服装でも、人が目の前を歩く臨場感があるから体温が感じられるのですが。
グッチの今回のムービーシリーズ(オークワフィナ、ダコタ・ジョンソン、ダイアン・キートン、シエナ・ミラー、セリーナ・ウィリアムズ版もあり)は、人間味のある物語。
セレブを起用した意味もちゃんとあって。
私はグッチの服も小物も持ってないんですが …… 久々に心を掴まれたファッションムービーでした。
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