手持ちのPCで、コロナウイルス解析プログラムに参加する。【いまだからできること #1】
新型コロナウイルス「COVID-19」との戦いで最も有効なこと。それは、ワクチンの開発にほかならない。すでに世界の大手企業や研究機関が乗り出し、ここ数日の報道では治験段階に進んだプロジェクトもあるようだ。しかしまだまだ時間が必要で、完成するのは早くとも2021年と言われている。いち市民に過ぎない我々は、完成を願ってただ待つだけなのだろうか。いや、そうではない。
世界中のPCで余っている計算能力を、疾病研究に役立てるネットワークコンピューティングのボランティアがあるという。スタンフォード大が2000年にスタートした「Folding@home」というプロジェクトで、シミュレーションによってウイルスを構成するタンパク質の構造を解析、治療法の開発に役立たせるというものだ。詳しい説明はニューズウィーク日本版の記事や公式サイト(英語)に譲るが、これまでもアルツハイマー病やパーキンソン病などの治療に貢献し、この2月からは新型コロナウイルスの解析に着手。日本からも複数の企業が参加を表明しているようだ。
さっそく、自分のPCで試してみた。Folding@homeの公式サイトからアプリをダウンロードしてインストール。プログラムが走り出すまでに必要なのは、わずか数クリックの手間と77.1Mの記憶スペースだけ。仕事中でも夜間でも動かし続けることができ、CPUが計算を行う様子をリアルタイムで確認できる。
画面には英語の専門用語が並ぶため、私を含む多くの人にとって、プログラムがどう働いているのかを理解するのは簡単ではないだろう。そもそもワクチンの開発は、素人が期待するとおりに進むものではないはず。自分のPCが貢献している量だって、砂漠のなかの一粒の砂のようなものかもしれない。しかし、そんな微力ではあるものの、こうしてプログラムに参加することで、COVID-19にやられっぱなしではなく、人類は日々戦っているのだという実感が得られ、自分の心の中に闘志の火が着くのを感じるのだ。
「いまだから、できること」のひとつとして、こうしたプログラムがあることを多くの人に知らせたい。そして同時に、このプロジェクトに限らず、治療薬やワクチン開発に携わるすべての人に心からエールを送りたい。人類の叡智を集結するべき時は、まさにいまなのだから。(編集KI)