銀座・エルメスのアート展を体感。木材に座り、音響に包まれ、短編フィルムを観て。
自然界への憧れが募ってるのに、アウトドアライフと無縁な生活の毎日。
もっと外に出かければ、コロナ禍の鬱屈も少しは晴れるのでしょうけど。
天然の木材が淡々と並ぶ会場の写真を目にして、
「銀座メゾンエルメス フォーラム」で開催している「エキシビジョン・カッティングス」に行きたくなりました。
癒やされる気がしたんですよね。
アートうんぬん以前に。
都市部の室内だからこそ、背景との対比で自然界のモチーフが浮き上がる面白さもありますし。
公園や野山に足を運んでも、木も土も当たり前な存在になり、ひとつひとつに向ける気持ちの密度が薄くなりがち。
子どもの頃は、落ちてる枝にもワクワクして遊び道具にしてたのに。
都市空間に植物が置かれることで、大人がそれらの価値を見直すことも多いと思ってます。
今回の展覧会は特定のアーティストを取り上げるものではなく、ヨーロッパで展覧会をオーガナイズするキュレーターのマチュウ・コブラン氏の企画展とのこと。
正直、事前に解説文を軽読みしたとき、
「なんだかよくわからん 笑」
だったものの、仕事で銀座に行ったとき覗いてきました。
入場無料で、予約なしでOKでした。
2部屋にわかれた展示内容は主にふたつ。
1. 木材を配置した空間で、部屋を囲むように置かれたスピーカーから流れる環境音楽を聴く。
2. 2000年代も含む実験的なアート展を紹介するドキュメンタリー短編映画を観る。
メインの部屋は、音楽ありきの空間。
音楽が主役ってほどの主張の強さ。
大きな音量で流れるのは、ドローン音楽(抑揚の少ない同じ音を長く伸ばし続ける環境的な音楽)。
このために作曲された6曲が繰り返され、私が行ったときは低音でメロディのない単調なものでした。
自由に座れる木材とこの音楽との調和の意味は、正直ぜんぜんわかんなかったです(すみません、バカで)。
音楽自体もよくわからず(すみません、バカで)。
ミニマル・ミュージックのライヒやグラスの曲には完全に心を持っていかれる人間でも、ドローン手法って微妙なんですよね……。
音楽的カタルシスと別のところにあるのか、優れた曲になりにくいのか。
私の感性が鈍いだけなのか。
それでも!
天井が高く自然光が降り注ぐモダンなエルメスのギャラリーの中で、無機質な音響に包まれながら剥き出しの木材を目と手で感じる時間は心地いいものでした。
さて、別の小部屋では簡易的なドキュメンタリー映像が上映されてるんですが、これがすごくよくて!
登場するアート展は、
●開催期間中に反逆的な意図で作家自身が “閉鎖” させたギャラリー
●空の展示室に客を招き入れて閉じ込め、外から様子を観察したイベント
●作品がなにもない空会場を鑑賞させた展覧会
などの「反美術館(アンチ ミュージアム)」なもの。
実質30分くらいでしょうか、作家のコメントやアート展の映像や写真が続きます。
ナレーションでコロナ禍の話も出てくる、リアルタイムな映像です。
皮肉やイデオロギーの主張が控えめで、淡々と証言や事実が並ぶ構成でお勉強できました。
学校の授業の教材にできそう。
見逃すのはもったいないですから、お越しの際は時間に余裕を見るのが吉です。
ロジカルな解説は公式ページにて
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/210423/
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いま見たら、5月23日(日)から臨時休館との記載が!
撮影 © 高橋一史
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