サイダーの奥深さに触れられる、風土が薫る“農家のシードル”【プロの自腹酒 vol.30】

  • 文:西田嘉孝
  • 写真:榊 水麗
  • イラスト:阿部伸二
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カモシカシードル醸造所/カモシカシードル ロゼ 甘口 2022

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長野県伊那市で2016年に創業したカモシカシードル醸造所は、隣接する標高900mの地に開かれた果樹園でリンゴを栽培している。「ロゼ 甘口 2022」は、信州大学の元教授が開発した、果肉まで真っ赤な新種のリンゴ「ハニールージュ」のみを使ったシードル。瓶内二次発酵による細かな泡と美しいロゼ色、ナチュラルで甘酸っぱい味わいが特徴。リンゴのおいしさがダイレクトに伝わってくる。750mL ¥3,630/カモシカシードル醸造所 TEL:0265-73-0580

日英バイリンガルのクラフトビール専門誌で編集長を務めた後、大好きなサイダー(リンゴ酒)を日本で普及させるべく、独立を決めたリー・リーブさん。2017年にはサイダー専門の無料バイリンガル情報誌『インサイダージャパン』を創刊、22年からは一般消費者が評価する国内初のサイダー品評会「ジャパン・サイダー・カップ」を主催するなど、サイダーの魅力を伝える活動を精力的に行っている。

「私にとってサイダーは常に暮らしの中にあるお酒。ビールやワインのように苦味や渋みが主張しすぎず、より幅広い料理と合わせて楽しめるサイダーは食中酒にもぴったりです」

そう話すリーさんが選ぶ自腹酒が、長野にあるカモシカシードル醸造所の「ロゼ 甘口 2022」。果肉まで赤いハニールージュという特別なリンゴのみで醸された、爽やかな酸味と心地よい甘みが印象的なサイダーだ。

「飲みやすいのでエントリーサイダーとしてもうってつけ。リンゴの味わいがしっかり感じられて、飲めば思わずワクワクするような、サイダーの奥深さを感じさせてくれる一本です」

グリル野菜や魚介、スパイスの効いたカレーから和食まで、あらゆる料理とも楽しめる。

リンゴの名産地である青森や長野を中心に、いまや日本でも約110の事業者がサイダーを生産している。とはいえ日本のクラフトサイダーの歴史はまだスタートしたばかり。「ハニールージュのような、日本で品種改良されたリンゴを使ったものや新しいスタイルのサイダーも出てきているので、ぜひ気軽に試してほしいですね」とリーさんは話す。

優しく軽やかな味わいで、日々の暮らしに取り入れやすいのがサイダーの魅力。リーさんが大きなポテンシャルを感じるという国産サイダーの現在地を、ぜひ体感してもらいたい。

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軽やかな酸味と甘みがチーズや肉料理と好相性

オールラウンドな食中酒として楽しめる「ロゼ 甘口 2022」。幅広い料理と合うが、普段はカマンベールなどやわらかいチーズやシャルキュトリと合わせるのがリーさんの定番だ。

リー・リーブ

1979年、スコットランド生まれ。イベントや品評会を主催するインサイダージャパン合同会社を妻の真依子さんと運営。サイダーの輸出入も手掛ける。米国サイダー協会が認定するアジア初の公認ポムリエ。

インサイダージャパン

www.inciderjapan.com

※この記事はPen 2025年5月号より再編集した記事です。