「山頂まで乗るだけ…」標高1500mの登頂まで続く“エレベーター”に非難の声

  • 文:山川真智子
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Photo:Keitma / Shutterstock ※画像はイメージです

中国江西省の山岳リゾートに、標高1500メートルの山頂まで続くエスカレーターが設置され、間もなく運用が開始されるという。山岳景勝地に苦もなく誰でもたどり着ける画期的アイデアとされているが、果たしてこれが正解なのかと、疑問の声も出ている。

階段で2時間の道のり わずか数分で山頂へ

このエスカレーターが設置されたのは、中国江西省にある霊山風景区だ。2022年にスタートした大規模プロジェクトで数百万ドルが投じられており、2025年5月にオープン予定としている。

現地で撮影された最近の映像には、山のふもとから山頂までが、10区に分かれたエスカレーターで連結された様子が映っている。

これまで標高1500メートルの頂上にたどり着くには、2時間ほどかけて何千段もの階段を登らなければならなかった。しかしこのエスカレーターの完成により、たった数分で山頂まで行けるようになるという。

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他の山でも導入 疲れず快適

実は規模は小さいが、すでに山岳エレベーターは他の場所でも建設され稼働している。

人民網日本語版によれば、浙江省にある天嶼山にも、2023年に長いエスカレーターが設置された。この山の標高はわずか350メートルだが、山頂までは蛇行した山道を3キロも上る必要があった。エスカレーターが設置されたおかげで、山頂までの所要時間は50分から10分に短縮されており、まったく疲れない「無痛登山」として話題になったという。

浙江省の別の景勝地には、2020年に100メートルのエスカレーターが設置されている。マーケティングの担当者は、登山は疲れるものだと説明。エスカレーターを使って、ショッピングをするような気軽な感覚で登山し、大自然と触れ合ってもらいたいと話していた。

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設置に賛否 山登りのあり方とは?

エスカレーターへの市民の反応はさまざまだ。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙によれば、高齢者や障害者を含め、誰もが息を飲むような絶景を楽しめるようになったと賛辞を送る人もいれば、簡単に山頂に行けるのは山登りの意義が失われる、山の景観が台無しにされているなどと非難する人もいるという。

 人民網によれば、天嶼山のエスカレーターを建設した会社の責任者は、ネット上の批判に対し、エスカレーターの設置で登山ができなくなったわけではないと反論。「無痛登山」は、あくまでも景色の楽しみ方の選択肢を増やすものだと説明している。

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間もなくオープン。霊山のエスカレーター。

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浙江省のエスカレーター