まずは以下の写真をご覧ください。


一目瞭然ですね。
リュックを肩から外し手に持ってぶら下げれば、人間の身体でもっとも面積を取る上半身がすっきりします。
電車内で他人の顔や服に、汚れたリュックを擦り付けることがなくなります。
さらに、上半身の空間を削ることで車内に隙間が空き、満員電車にひとりでも多く乗車できるようになります。
車内をゲームのテトリスのようなパズル空間と考えれば、脚部分がもっとも空間が多いことに気づきます。
(天井下〜顔までの空間を除く)
ならば脚の位置にバッグを持ってくればいいのです。
見知らぬ他人から顔、胸、背中にバッグを押し当てられると不快な気分になるものですが、脚ならそこまで気にならないでしょう。
(人によるとは思いますが)
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一部の鉄道会社では、「車内ではリュックを前に抱えるのがマナー」と駅のホームに記されています。
でもそれは、「背中に背負い続けるよりはマシ」に過ぎません。
前でも後ろでも、リュックが足された上半身の面積は変わりませんから。
目の前にあるとちょっと横にずらせるだけです。
とはいえ、電車内でリュックを前に抱える人はマナー意識の高い人でしょう。
歩くときは後ろに背負い続けるリュックを、わざわざ肩から外して背負い直すんですから。
たぶん「鉄道会社にこうしろと言われているから」「会社の同僚がこうしているから」「こういう人をよく見かけるから」といった理由での行動と推察されます。
とても素直に、社会マナーに従っているだけな気がします。
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鉄道会社による、「リュックは前に抱えて」は、「リュックとは両肩に左右のストラップを乗せる荷物運びの道具のこと」という通念に基づいた提言ではないでしょうか。
パリやミラノでのファッションショーではよくモデルが、リュックの上のハンドルを手で掴みブリーフケースのように持ち運んでランウェイを歩きます。
これには着ている服の形をショルダーストラップで崩さないためなど様々な理由があり、必ずしも「こう持ってください」や「この持ち方がお洒落」といったアピールではありません。
ただリュックだからって、想定された使い方をしなくていいんです。
トートだってハンドルがすごく長ければ、肩から斜めがけしたっていいですし。
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リュックには多くの製品で上部にハンドルが装備されています。
アウトドア用のリュックですとフックに引っ掛けられる程度の簡易的なハンドルだけのケースもありますが、短時間の電車移動なら実用に耐えうるでしょう。
簡易ハンドルすら装備されていないリュックのときは、わたしは左右のストラップを両手で持ったり、ひとつに束ねて手首に巻き付けたりします。
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さて、いろいろとリュックを手に持つメリットを語ってきましたが、電車内で手に下げるのが難しいケースも多々ありそうです。
わたしが思いつく限りでは、
●握力が弱くハンドルを握っていられない。
●肩の怪我、高齢、病気などにより、リュックを肩から外すのがたいへん。
●片手でつり革を掴むから、もう一方の片手だけでリュックをぶら下げると重く辛い。
●リュックで胸やお腹をガードしたい(とくに女性)。
●座っている人の座席の最前列に立つから、前に抱えるほうが空間を有効活用できる。
●ハンドルを握った手を外してリュックを床置きすると、下車のとき邪魔で危ない。
●重要な荷物だから身体に密着させておきたい。
このようなケースでは手持ちを避けたいかもしれません。
それでも電車に乗り込むときに、まずは手持ちという選択肢を思い浮かべていただけたら嬉しいです。
そもそも「自分には本当にリュックが必要?」というバッグの見直しも含めてどうぞご考慮を。
電車内ではいまだにスマホを、顔のすぐ下で操作している長身男性がいます。
女性の平均身長ほどしか背丈がないチビ男性のわたしは、こんな人が近くにいると顔に金属のナイフを突きつけられている気分です。
たぶん悪気なくやっている人が多いのでしょう。
お腹ほどの位置にスマホを下げれば、誰にも恐怖を与えず安全なことに気づいていないだけ。
一緒に乗車した彼女とかに「危ないよ!急停車したら顔にぶつかるじゃん」などと言われたら、その人のなかで常識が切り替わるでしょう。
わたしがここでお話した車内リュック問題の解決案も、そんな気づきのヒントになれたら幸いです。
※この記事のモデルになっていただいたのは、ファッションの仕事で付き合いのあるイケメン男性。
身体モデルでご協力いただきました!

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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