「イスラエル軍の虐殺映像」と拡散されるも、実はタイの遊園地ショーだったことにネット騒然! 専門家「フェイク映像の見分け方は…」

  • 文:Rikako Takahashi
Share:
shutterstock_2144334355.jpgPhoto:Sushitsky Sergey/Shutterstock※写真はイメージです

「イスラエル兵がパレスチナ・ガザ地区の市民に残虐行為をしている」としてXで拡散された動画が、実はタイの遊園地で開催されているスタントショーの映像だと判明した。仏通信社AFPのファクトチェック機関の調査で明らかになった。

---fadeinPager---

「ドクロマーク」のドラム缶に男を突き落とす?

とあるアカウントが3月24日午後9時50分(日本時間)に投稿した動画には、ドクロマークのついた大きなドラム缶、またはミキサーのような容器が映っている。容器からは、煙が立ち昇っている。

軍服を着た男2人が、別の男を容器の中に突き落とす。「わあああ!」と、男の叫び声が聞こえる。軍服の男がロープを引くと、白骨化した男と見られるものが吊り上げられた。

投稿には「イスラエル軍によるガザの人々に対する犯罪容疑」と書かれているが、実際はイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争とは無関係だ。AFPが動画を画像検索にかけた結果、YouTubeやSNSに掲載された類似の場面がヒットしたという。バンコクにある遊園地「ドリームワールド」で開催されている、ハリウッドをテーマにした常設スタントショーのワンシーンだった。

---fadeinPager---

投稿には懐疑的なコメント

ドリームワールドの公式YouTubeチャンネルは、本番シーンを公開している。確かに、Xに投稿されていた動画と男たちの服装や動きがそっくり。AFPがGoogleマップでドリームワールドのステージを確認したところ、動画の容器と一致した。

投稿には、「だからイスラエルには耐えられない」などイスラエル軍に対する批判的なコメントもあるが、懐疑的な意見が多く寄せられた。「(白骨化するのに)ロープが溶けないのはおかしい」と指摘するユーザーもいた。

2023年10月7日にハマスがイスラエルを攻撃し、イスラエル軍が報復として軍事作戦を開始したことから戦闘が続いている。今年1月、両者は停戦に合意したが、3月にイスラエル軍が攻撃を再開し、停戦合意は事実上崩壊している。

保健当局は3月23日、戦闘員と民間人を合わせたガザ地区での死者が5万人を超えたと発表した。負傷者は11万人以上。イスラエル側は、この数字は正確ではないと主張している。

---fadeinPager---

---fadeinPager---