
中国・雲南省にある人気観光地「西双版納原始森林公園」で今年1月、水槽の中で演技していた“人魚”が突然巨大魚に襲われるという衝撃的な事件が起きた。襲われたのは、ロシア出身のパフォーマー、マリア・ゼレニナさん。なんと、彼女が泳ぐ水槽の中で、突如サメが彼女の頭部に噛みついたのだ。当時の様子を捉えた動画が再びSNSで注目を浴びている。
事件が起きたのは1月28日。マーシャの愛称で知られるゼレニナさんは、カラフルな衣装を身にまとい、子どもたちや観光客の前で美しい“人魚ショー”を披露していた。その時、突如として背後から接近してきた巨大な魚が、彼女の頭部を吸い込むようにカブリ!水槽のガラス越しに見ていた観客たちは驚きのあまり声も出せず、ゼレニナさんは何とかもがいて魚の口から逃れ、水面まで泳ぎ着いたという。
「浮上したとき、自分のゴーグルがなくなっていたのに気づいたわ。まるで夢の話のようだった」と彼女はアメリカのメディア『PEOPLE』の取材で語っている。
ゼレニナさんを襲った魚の正体は、チョウザメ。アメリカ海洋大気庁(NOAA)によれば、この絶滅危惧種の淡水魚は体長1.5メートル以上になることもあり、長江などに生息している。このとき魚に飲み込まれたのは、ゴーグルと鼻クリップ。さらに、彼女は頭部や首、目の周囲にも複数の傷を負い、ショックのあまり痛みはすぐには感じなかったという。
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わずか1万5千円の慰謝料と沈黙の圧力
ゼレニナさんはその後、病院で治療を受けたものの、大事には至らなかった。しかし、問題はその後に起きた。報道によると、運営側は「精神的損害」に対して700元(約1万5000円)の慰謝料を支払ったというが、ゼレニナさんには事件について「話さないよう」要請されたという。
しかし、すでにSNSでは動画が拡散。透明な水槽越しに撮影された“人魚が魚に噛まれる瞬間”の衝撃映像は大きな反響を呼び、「あまりに危険」「こんな額で済まされるのか」と同情と怒りの声が広がっている。
「もちろん怖かったわ。でも人生、何が起こるかわからないから、ユーモアを忘れずにいたいの」と語るゼレニナさん。美しいファンタジーの世界と紙一重の水中パフォーマンス。命がけの“人魚ショー”の裏で、エンターテインメントと安全管理のバランスが改めて問われている。
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