
ワタリウム美術館のオン・サンデーズ&ライトシード・ギャラリーで、ポーランドの現代美術作家、スタフ・シュムスキーの個展『ジャカード・テストVol.2』が開催中だ。本展では、昨年にワルシャワのギャラリーで初めて発表された新作が展示されている。
先史時代の壁画や新石器時代のペトログリフ、中世の象徴、さらには現代のグラフィティや企業ロゴに至るまで、シュムスキーの作品には人類の“視覚的コミュニケーション”が刻み込まれている。それらのモチーフを巧みに引用し、解体・再構成することで、時代や文化を超えた普遍的な“記号の風景”を描き出してきた。その制作手法は、ペインティングからインスタレーションまで多岐にわたっていたが、近年でも、特に集中して取り組んでいるのがジャカード・テキスタイルを取り入れた作品だ。
フランスで発明したジャカード織は、パンチカードによるプログラム制御を可能にした、“世界初のデジタル装置”とも言われる存在。ナポレオンがその可能性に目を留め、特許をリヨン市に与えたという逸話もある。絹糸のように緻密な構成と、ノイズのような質感が共存するジャカードのテキスタイル作品には、手仕事とプログラム、物質性と情報性という、現代における美術の両義性が色濃く表れている。形、色、テクスチャーの多様性を最大限に引き出す作品の個性を、間近で体感してみてはいかがだろうか。



スタフ・シュムスキー個展『ジャカード・テストVol.2』
開催期間:開催中〜5月30日(金)
開催場所:オン・サンデーズ&ライトシード・ギャラリー
東京都渋谷区神宮前3-7-6 オン・サンデーズ B1F
開廊時間:11時~20時
入場料:無料
TEL:03-3470-1424
https://onsundays.shopselect.net