【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『BAUをめぐる冒険』

絵を描き、本も書き、音楽もやる。いくつもの肩書を持つ坂口恭平が自らの原点、建築をめぐる旅に出た。まずはドイツでバウハウスの歴史を紐解けば、ナチスの時代を生き延びた抵抗の軌跡が浮かび上がる。ル・コルビュジエはインドにどんな希望を見出し、フンダートヴァッサーはなぜウィーンであんなにも奇抜な外観の集合住宅を手掛けたのか。坂口の語る建築は、困難な時代を生き延びるための技術なのだ。7カ国14組の建築家をたどる探訪記は単なる建築論を超えて、これからを生きるための豊かな視座に満ちている。
※この記事はPen 2025年5月号より再編集した記事です。