鳥取と世界の芸術の、“なにがリアルか”をめぐる競演――『ART OF THE REAL アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術 -若冲からウォーホル、リヒターへ-』展が開催

  • 文:河内タカ(アートライター)
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FB-1_アンディ・ウォーホル《ブリロ・ボックス》1968年_シルクスクリーン、木(要クレジット).jpg
アンディ・ウォーホル『 ブリロ・ボックス』 1968年 鳥取県立美術館蔵 シルクスクリーン、板 © 2024 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. /Licensed by ARS,New York & JASPAR, Tokyo G3679

2025年3月30日、鳥取県倉吉市に鳥取県立美術館が開館する。鳥取県の人口は県別で日本最少で、県立の美術館がこれまで存在せず、今回が待望のオープンとなる。美術館の設計を手掛けたのは、惜しくも昨年亡くなった槇文彦率いる槇総合計画事務所。3階建ての約2460㎡もの展示空間を有し、柱のない巨大な空間を移動する間仕切りによって、展示ごとに異なるスペースを創出するという。

この美術館の開館に先駆けて、22年9月にアンディ・ウォーホルの『ブリロ・ボックス』5点を2億9145万円で購入した際に、新聞やウェブの報道によって一躍注目を集めたことはいまも記憶に新しい。そして柿落としとなる本展のキーワードとなるのが「リアル」だ。対象をリアルに表現するために、歴代の芸術家たちはさまざまな試行錯誤を繰り返してきたわけだが、精度の高い印刷術や写真が発明され、イメージの複製や再現が容易になったことで、それまでの見たままの写実とは異なる、ある意味別次元の考え方やアプローチが絵画や彫刻の表現にも余儀なく広められていった。

今回の展示には、鳥取県立美術館のコレクションに加え、江戸絵画から現代美術までの幅広い作品を日本各地の美術館や関係施設から借り受け、「リアルとはなにか」というテーマに沿った約180点が集結する。国内外の100名以上の作家たちが選ばれたが、おもな作家は朝倉文夫、石内都、伊藤若冲、岡上淑子、ソフィ・カル、河原温、岸田劉生、草間彌生、イヴ・クライン、古賀春江、小早川秋聲、塩田千春、志賀理恵子、下道基行、リクリット・ティラヴァニ、ウォルフガング・ティルマンス、マルセル・デュシャン、舟越桂、森村泰昌など。間違いなく話題必至となるウォーホル作品も、この場で披露されることとなる。

『ART OF THE REAL アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術
-若冲からウォーホル、リヒターへ-』

開催期間:3/30~6/15
会場:鳥取県立美術館
TEL:0858-24-5442
開館時間:9時~17時(5/3、6/14は21時まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(3/31、4/28、5/5は開館)
料金:一般¥1,600
https://tottori-moa.jp

※この記事はPen 2025年5月号より再編集した記事です。