
イギリス王室の公用車として使用されているステートリムジンがベントレー製であることをご存じだろうか? この特別な一台、ワンオフのラグジュアリーカーを手がけたのが、ベントレーの中でもコーチビルダー製造を担当するマリナーだ。
マリナーは250年以上もの歴史を有し、世界最古と称されるコーチビルダー。もともとは馬具や馬車の製造や販売を生業としていたが、自動車の誕生以降はボディを製造するメーカーとして活動。その後、ベントレーに買収され、現在は同社のビスポーク部門として、通常モデルに特注の装備や仕上げを施したり、前述したステートリムジンのように完全に新しいコーチビルドカーを製造したりしている。ベントレーの究極のラグジュアリーの象徴がマリナーなのだ。

そして、このマリナーが手がける最新のコーチビルドカーがバトゥールだ。生産台数はわずか18台。名前はインドネシア・バリ島のキンタマーニにあるバトゥール湖に由来し、そのスタイリングや機能、素材は、今後ベントレーの通常モデルに採用されると予想されている。

バトゥールは流線型のハードトップクーペだ。
ベントレーにはオーナーとともに創り上げる“コ・クリエーション”のオーダープロセスがあり、2025年3月にはその特別な一台としてバトゥール『The Black Rose』が発表された。
この唯一無二のバトゥールは、ローズ・ゴールドの美しさをテーマに仕立てられ、オーナーのためにマリナーが特別に調合した専用のメタリックカラー「Black Rose」を採用。グロス仕上げの Beluga カラーがアッパーボディを引き締めている。

さらにフロントグリルやミラーキャップ、22インチのトリトンホイールなどには、サテンローズゴールドのアクセントをプラス。そして、ホイールにはブラックキャリパーを備えた迫力のカーボンセラミックブレーキを組み合わせている。

車内のインテリアには随所にローズゴールドが使用されている。
車内に足を踏み入れると、そこでも輝きを放つのはやはりローズゴールドだ。金属を層ごとに積み重ねて精密なパーツを作り出す金属積層造形(AM)3Dプリンティング技術を自動車業界で初めて採用。最大210グラムのホールマーク付き18Kローズゴールドのパーツが、ドライバーモードセレクターや、ベントレーの象徴であるオルガンストップ式のエアベントコントロール、さらにステアリングホイールのインサートマーカーなど、運転時に触れる主要なポイントに施され、ビスポークの精緻なクラフツマンシップを際立たせている。

触れる機会の多いパーツにローズゴールドを配している。
このホールマーク付きの18Kローズゴールドは、バトゥールで選べる革新的な仕上げのひとつだ。マリナーのビスポーク部門では、航空宇宙技術に着想を得たチタンや、コーヒー焙煎の副産物を活用したレザーライクなサステナブル素材など、多彩なオプションを提供している。これらは豊富なレザーやウッドトリムと組み合わせることで、無限のカスタマイズが可能なのだ。

現在、マリナーはベントレーにおけるすべてのカスタマイズを手掛けている。最も希少で洗練された車両を求める顧客には、一人一人に専任の担当者が付き、対面でじっくりと要望を聞きながら、車両のデザインや仕様を一緒に決めていくサービスを提供。個々のこだわりや趣味嗜好に合わせたデザインや仕上げを共に創り上げているのだ。