
スペイン・マドリードで創業したファッションブランド、ロエベ初の大型展覧会「ロエベ クラフテッド・ワールド展 クラフトが紡ぐ世界」が、東京・原宿で3月29日からスタートした。ファッションに対する前衛的なアプローチと、世代を超えて受け継がれるクラフトの文化を紹介するその展示を、日頃からロエベを愛用する俳優の板垣李光人が訪れ、堪能した。


建築設計事務所、OMAとのコラボレーションでデザインされ、世界を旅する巡回展として2024年に上海で始まったこの展覧会。1846年にレザー職人が集う工房としてスペイン・マドリードで創業し、世界有数のファッションブランドに成長するまでのロエベの進化を彩ってきた、アイコニックなデザインや文化的なコラボレーションの数々を紹介しながら、ゲストをイマーシブな旅へと誘う。
展示はテーマごとに分けられた7つの部屋で構成されており、そこでは毎年開催されるロエベ財団 クラフトプライズ、そして世界中の職人との多彩なコラボを通じて支援を続けてきた、クラフトおよび芸術的技法にフォーカスを当てた展示が続いていく。
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1846年にはじまった、ロエベの軌跡をたどる



ロエベがレザー工房として創立された1846年を出発点として、その進化の軌跡を紐解く「手から生まれたもの」の部屋では、ブランド初期のオーダーメイドのレザーアイテムや、アマソナ、フラメンコ、パズルバッグといったアイコニックなアイテムのアーカイブピース、さらにはセレブリティが着用したカスタムウェアなど多彩な展示を通じて、今日につながるブランドのアイデンティティを多角的に紹介している。
いままで知ることのなかった歴史的な背景に触れた板垣は、現在のブランドの姿と重ね合わせ、変化の中にもゆるぎない普遍性を見出した。
「僕はジョナサン・アンダーソンのコレクションを通してロエベというブランドの世界観に触れてきましたが、改めて歴史を振り返ってみると、彼がロエベの歴史や価値観をとても大事にして、それをうまく現代にアップデートしていたということがわかりました」
スペインの文化を映した、アイコニックなデザイン


続く「スペインへようこそ」の部屋では、ガリシア地方に見られるテラコッタタイルの家、貝殻にインスパイアされたラフィアのバッグと南スペインのビーチ、ロエベの自由な精神を体現するパウラズイビザ コレクションに登場する生き物が泳ぐ地中海など、ロエベの故郷であるスペインの原風景やクラフトの伝統、そこから生まれたアイコニックなデザインの数々を紹介。
「この部屋は、展示品のかわいらしさはもちろんのこと、光や音の使い方がスペインの情景をうまく表現していて素敵です。特に格子状の影がテラコッタのレンガを重ねた階段に落ちる展示は、まるで現地にいるような感覚を味わえます」
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職人たちの手仕事を、間近で体感する



「ロエベのアトリエ」の部屋では、レザーのライブラリーから始まり、裁断、トリミング、塗装、組み立てといった製造ラインを再現する展示を通して、パズルバッグやフラメンコバッグといった、世代を超えて長く愛されるバッグを生み出すために費やされる、何百時間にもおよぶ試作と検査の工程を紹介。職人の手仕事によって無数のビーズが施されたキャビア刺繍、レザー象嵌技術のレザーマルケトリー、折り紙のような造形技法、さらには3Dプリントといった革新的な手法まで、ロエベのクラフツマンシップを間近で体感できる。
「高級なバッグの価格の裏には、職人の卓越した技術や最先端のテクノロジーがあるということは、実際に製造工程を見てみないとあまり想像できないことだと思います。これはぜひ多くの人に見てもらって、職人のものづくりの素晴らしさを感じてほしいです」
添えられた遊びごころに、心が躍る

「城の部屋」の中央には、高さ2mに巨大化した「ハウルの動く城 バッグ」を展示。元のバッグは、スタジオジブリの名作にインスピレーションを得たカプセルコレクションのためにデザインされたもので、ハンモックのパネル、フラメンコクラッチの波打つディテール、ゴヤの内ポケット、アマソナやブレスレットポーチなど、アイコニックなバッグのディテールを組み合わせて構成されている。


前半の2階フロアと後半の1階フロアをつなぐ階段は、ゲストがステッカーを1枚選んで、壁面はもちろん、手すりや床面まで、好きな場所に貼ることができるスペース。普段なら許されない行為に、ちょっとしたイタズラ心を解放できる。キノコ、カブ、トトロ、花、工具バッグ、スナ・フジタのキャラクターたちなど、ロエベらしいカラフルで楽しい絵柄のステッカーが埋め尽くす空間は、後半の展示に進む前のインターバルとして気分をリフレッシュさせてくれる。
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時代も国境も超えて、“クラフト”で世界をつなぐ



手でものをつくる喜びと、世界各地のクラフトを支援するロエベの取り組みに焦点を当てた「クラフトによる連帯」の部屋では、ロエベ財団が継続的に支援する、京都で400年以上にわたり茶の湯釜づくりを業としてきた大西家のドキュメンタリー映像のほか、ロエベ財団 クラフトプライズのファイナリストである四代田辺竹雲斎や渡部萌、2019年の大賞受賞者である石塚源太、そしてミラノサローネで作品を発表したARKO、松本破風、米澤二郎らの作品を展示。
「最初の『手から生まれたもの』の部屋でも、ロエベ財団による過去の支援活動を振り返る展示がありましたが、人の手からものを生み出すクリエイティブなプロセスや技術力の素晴らしさをたたえ、昔から続く手仕事をつないでいくということを、とても大事にしているブランドなんだなと、改めて感じました」
ランウェイショーを体感する、贅沢きわまりない空間



「限界なきファッション」の部屋へとつながるカーテンをくぐるやいなや、「うわぁ! 豪華すぎる! この部屋には何時間でもいることができます(笑)」と、興奮の色を隠せない様子の板垣。
「この帽子は大好きで色違いで持っているし、このルックは全身で揃えました。初めてロエベのコレクションピースを着たのはこのルックで、これはランウェイで見て感動したルックです。こうやってまた再会できて、しかもこんなに間近で、じっくり眺められる日が来るなんて思ってもいませんでした!」
この部屋では、メンズ&ウイメンズのコレクションから厳選された54体のルックが台座の上のマネキンに着せて展示され、ロエベ アートコレクションから選ばれた芸術作品と対話するように配置されている。7台の縦型スクリーンにはランウェイの映像が映し出され、まるでモデルたちがショー会場を歩いているかのような没入感を演出する。
「ランウェイショーというのは、わずか15分ぐらいの短い時間の中に、クリエイティブ ディレクターをはじめ、デザインチーム、スタイリスト、ヘアメイク、モデルたちも含め、全員が命をかけている瞬間だと思うんです。そのエッセンスがそのまま再現された空間で、歴史に刻まれたルックの数々を、ガラスケースのような仕切りもない状態で、360°どこからでも舐め回すように眺めることができるなんて、こんなに贅沢な体験はありません」
幻想的なコラボレーションの世界を巡る



展覧会の締めくくりとなる「意外な対話」では、過去10年間に行われたコラボレーションの着想源となった、5つの世界を巡る小部屋が続く。陶芸の巨匠ケン・プライスのニューメキシコのアトリエを再現した空間や、日本の陶芸ユニット、スナ・フジタによるおとぎ話のような情景がのぞき穴の中に隠された小部屋、ジョー・ブレイナードのコラージュが立体化された部屋や、スタジオジブリの世界へと誘う幻想的な空間などが展開される。
ファッション、アート、クラフトと、クリエイティブなものづくりをこよなく愛する板垣は、ゆっくりと噛み締めるように、時間を費やしながら、一つひとつの展示とのインタラクティブな対話を愉しんだ。そうやってすべての展示を観終わった彼の顔には、満面の笑みがあふれていた。
「素晴らしい仕掛けにあふれた空間の中で、贅沢な時間を満喫することができました。ショーピースのようなファッション的な要素だけではなく、歴史、クラフト、アートといった部分にもしっかりとフォーカスされているので、いろんな方向から創作意欲の中枢を刺激されるような体験が愉しめました」
観て、聴いて、嗅いで、触って、さまざまな感覚を駆使しながらインタラクティブに愉しむ「ロエベ クラフテッド・ワールド展 クラフトが紡ぐ世界」は、ファッション好きか否かにかかわらず、大人から子どもまで、すべての人が愉しめるテーマパークのような展覧会だ。春の行楽シーズンに訪れるべきアドレスの、トップにリストアップすることをぜひともお薦めしたい。

『ロエベ クラフテッド・ワールド展 クラフトが紡ぐ世界』
2025年3月29日(土)~ 5月11日(日)
東京都渋谷区神宮前6-35-6
開場:9時〜20時(最終入場時間 19時)
無休
入場無料(予約制)
※展覧会を快適にご覧いただくため、事前予約を推奨しますが、会場にて当日入場も受け付けています。混雑状況によってご希望の時間帯にご案内できない可能性がありますのであらかじめ御了承ください。
※予約は公式サイト(モバイルのみ)から