ポール・スミスとガーデニングツールブランドのニワキがコラボレーション。才色兼備の道具が誕生した。

  • 文:小長谷奈都子
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ポール・スミス 三条店のポップアップコーナーで語り合うジェイクさん(左)とポールさん。photo:Kohei Omachi(W)

 
ニワキはイギリス人のジェイク・ホブソン氏が日本のデザインや職人技を世界に届けようと2007年にスタートしたガーデニングツールのブランド。園芸用金属加工の本場の兵庫県三木市など日本各地から厳選した道具をロンドンで展開し、プロからアマチュアのガーデナーまで幅広く支持されている。今回、ポール・スミスとのコラボレーションで、従来の機能性に遊び心が加わった4つのアイテムが誕生。来日したポール・スミスさんとジェイクさんに話を聞いた。

 

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弾丸来日の疲れも見せず、ユーモアを交えた話や来場者への温かい気遣いで、場を和ませるポールさん。photo:Kohei Omachi(W)


―今回のコラボレーションのきっかけを教えてください。
ポール氏 私の最初のショップはノッティンガムの3m×3mのすごく小さなお店でした。その頃から洋服以外のものを置きたいと思って、ピカソの展覧会のポスターやギリシャに行った時に買ったペンナイフなどを並べていました。美しいものや面白いもの、特別なものを置きたかったんです。洋服のお店に洋服しかないというのに違和感があって、アートやガーデニング、サイクリングなど、いろんな好奇心をくすぐるものがあるといいと思っています。共通の友人を通してジェイクさんを知って、まずニワキのアイテムをショップに置いたのがきっかけです。
ジェイク氏 タイミング的にコロナ禍の直後でしたね。コロナ禍で家にいて植物の世話をする人が増えて、ニワキの注目度がすごく高まっていたんです。ポール・スミスのショップに並ぶことは嬉しかったし、誇りに思いました。

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ジェイクさんは美大生の時に桜が見たいと日本を訪れ、日本庭園の美しさに魅せられた。大阪の植木屋さんで2年間働いたこともあるという。photo:Kohei Omachi(W)


―ファッションとガーデニングのコラボレーションはいかがでしたか。
ポール氏 2人とも長年日本に頻繁にきていて、日本の道具、職人の手仕事に対する愛という共通点があります。異業種ではあるけれど、手仕事、伝統、質の良いもの、楽しいものに対する価値観が同じなので、難しくなかったです。適切な言葉かわからないけど、“breed(種族)”というか、同じような興味関心を持っている人たちがいますよね。
ジェイク氏 ガーデニングがそのグループに入ってきたのは興味深いですよね。デザインやファッションはいつも一緒だったけれど。

 

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ポール・スミス 三条店のポップアップコーナーに、ポールさんとジェイクさんが刈り込みのデモンストレーションをしたウサギのトピアリーが並ぶ。photo:Kohei Omachi(W)


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―ガーデニングに対する捉え方が変わってきたのでしょうか。
ポール氏 20数年前には料理やガーデニングは親がやる趣味で、若い人にとってはクールなものと捉えられていなかったけれど、今は見え方が変わってきました。私が大好きなサイクリングの世界でも、25年ほど前はレースのサイクリストは労働階級の人がなる職業だったけど、今では若い人がアスリートとしてたくさんのお金を稼いでいます。
ジェイク氏 イギリスのガーデナーはボロボロの服を着ているけれど、やっぱりかっこつけていたいんです。私たちは日本の庭師さんを見て、ニッカボッカや足袋をはいてめちゃくちゃかっこいいと思います。BBCの園芸番組のキャスターを務めるガーデナーのモンティー・ドン氏もフランスの作業着みたいなリラクシングなスタイルでかっこいいです。日本の庭師さんのかっこよさとモンティー・ドン氏のようなスタイルを融合させていきたいですね。

 

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機能性とデザイン性を兼ね備えたコラボレーションアイテム。左はポールさんが逆さにして「うさぎの耳にもなるよ」とおどけた日暮らしばさみ。photo:Kohei Omachi(W)


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―今回のコラボレーションの中でお気に入りのアイテムは?
ポール氏 剪定ばさみです。フォルムも美しくて、よく切れる。レザーコードで色を加えたのですが、そのレザーコードのためグリップ力もあります。何百年も使われ続けている伝統的な道具に色を加えると言うのが今回のポイントになっていて、ケースも緑のレザーに赤いステッチが入っているのが特徴です。機内持ち込みには向かないけれど(笑)。
ジェイク氏 ホリホリです。イギリスではホリホリがものすごく人気です。とてもシンプルなんですが、雑草を抜く、植える、掘る、切るといった用途に使えます。ひとつのシンプルな形でさまざまな用途に使えると言うのが、日本のものづくりの真骨頂だと思います。
ポール氏 ジェイクさんが販売している道具の多くは、日本で100年、150年と作り続けられているもので、私たちが惹かれるのは、それらが時代の変化に遅れをとることなく使われ続けている点です。改めて発明する必要がないぐらい完成しているのがすばらしい。
ジェイク氏 イギリスのシェフィールドという地域は鉄の街として知られてたんですが、残念ながら今では鉄鋼業は廃れてしまいました。日本では今でも連綿と続いていますよね。ニワキの道具も3代、4代続いている職人さんに作ってもらっていますが、それはすごいことだと思っています。

 

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ポールさんお気に入りの剪定ばさみ+レザーホルスター。使い込むほどにレザーが味わいを増す。photo:Kohei Omachi(W)

 

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ジェイクさんイチオシのホリホリプロ+キャンバスシース。ニワキオリジナルより鋭く丈夫。photo:Kohei Omachi(W)

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 ―イギリスと日本のお気に入りの庭を教えてください。
ジェイク氏 イギリスでは120年ほど前に造られたグレイトディクスターという庭です。母の庭も好きですね。イギリスではガーデニングを趣味にしている人が本当に多いので、有名な公共の庭に匹敵するような個人の庭も多いんです。日本では京都の等持院かな。25年前に日本を訪れた時に見た庭のひとつで、妻や両親、友達も一緒で、私の日本との歴史が始まった庭です。建築と庭が一体となっているのが面白いし、すべて揃っているけれど、観光客がそんなにいないのも魅力です。
ポール氏 建築と庭は非常にリンクしています。前は庭は建物の付属的なものだったけれど、今は同時進行で造られている。インドでは建設を始める前に木を植えて、建物が完成する前に木の根っこが活着するような建て方もあります。ミラノのボスコ・ヴェルティカーレという高層ビルは約900種類の樹木が各階のテラスに植えられ、建物全体が生きている植物のようです。 

 

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赤、青、緑のレザーの組み合わせが美しい職人ツールバッグをディプレイ用に作った特大サイズ。photo:Kohei Omachi(W)

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コラボレーションや日本の手仕事、ガーデニング文化の違いなどについて、英国紳士らしいユーモアを交えながら饒舌に語ってくれた。ポール・スミス+ニワキのコラボレーションアイテムは、ニワキ公式オンラインショップならびに、ポール・スミス公式オンラインショップ、および限定店舗にて発売中だ。

 

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話を聞いたのがこちらポール・スミス 三条店。町家を改装したショップで、京都の中心地にある。photo:Kohei Omachi(W)

 

Paul Smith + Niwaki Exclusive Gardening Collection
ポール・スミス+ニワキ

ニワキ公式オンラインショップ
 https://www.niwaki.co.jp
 
ポール・スミス公式オンラインショップ
 https://www.paulsmith.co.jp/shop
 
ポール・スミス直営店舗
三条店 :〜4月6日(日)
グラングリーン大阪店:2025年4月26日(土)〜5月12日(月)
阪急メンズ大阪:2025年5月17日(土)〜6月1日(日)
丸の内店:2025年6月7日(土)〜6月22日(日)
ジェイアール名古屋高島屋(8Fメンズ):2025年6月28日(土)〜7月13日(日)