いま注目を集める4人に、お気に入りのシャツを披露してもらった。今回は、アーティストの和泉 侃。洋服に対する意識を変えた、シャツとの大きな出合いがあったと語る。
重たいコートを脱ぎ去る季節がやってきた。今特集では、老舗ブランドの新作から最旬シャツカタログまで、さまざまな視点からシャツを紐解く。無限の可能性を秘めるシャツの楽しさを、存分にお届けする。朝、目を覚まして春を感じたら、シャツを主役に出掛けよう。
『シャツからはじめる』
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ヨーガンレールのウールツイルシャツ
「私の活動はあくまで手掛ける香りが主役で、『目に見えないものを感じ取ってほしい』という思いがあり、自分の存在があまりフォーカスされない匿名性のある服を好んでいました」
和泉にとっての服は、対外的な視点で選ぶものであり、シャツもシンプルなデザインや無垢な白を着用していた。しかしいま愛用するのは、繊細なウールを使った優しい風合いの一着だ。その変化のきっかけは、昨年、宇都宮有希が主宰するギャラリー・ケウとヨーガンレールが一緒に製作したウールツイルのシャツとの出合い。
「袖を通して、シャツへの意識が変わったんです。着心地に心が落ち着き、満たされるというリッチな体験をし、『外からの見え方ではなく、自分のために服を着たい』と初めて思いました」
実際に着て、風をはらみ空気を含んだ時に生まれる、たゆたいやシワに見惚れたという。
「この佇まいは、土を用いた私のアトリエや古い建築など、自然や経年によるエレガンスを感じる場所にもうまく馴染みます」

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