3月21日金曜日。シャンゼリゼ大通りには騎手を背に乗せてジャンプする馬を描いた旗が並び、シャルル・ド・ゴールの銅像を囲むように設えられたパドックには馬の姿も見える。23日日曜日までの3日間、グラン・パレで開催されたのは、エルメスの障害馬術競技大会ソー エルメスだ。今年はエルメスがGL Events Groupと提携して開催した。2010年に誕生した競技大会は、もともとグラン・パレを会場と想定して誕生したものだという。昨年のパリ オリンピックまで続いた大改装を終えたグラン・パレに、ソー エルメスが6年ぶりに帰ってきた。

大きなガラス屋根から空を望むグラン・パレは、四方を観客席に囲まれた大きな馬場に姿を変えた。パリの中心地、歴史的空間で行われる唯一の馬術競技会。国際馬術連盟の定める最高レベルである「CSI5*」クラスに位置付けられ、成績は世界ランキングにも加味されるとあって、トップクラスの選手が愛馬とともにやってくる。
エルメスらしく、障害物もフォーブル・サントノーレ店の外観やチェスのナイト、オレンジ色のHなどを模ったエレガントなデザインを纏っている。馬たちは1.45〜1.6メートルもの障害をジャンプしながら、その速さを競う。トップクラスのスポーツでありながら、エレガントな気品漂う競技会である。

25歳以下の騎手を対象とした「タレント・エルメス」ほか、全部で10の競技が行われた3日間。最終日の午後に競われた「グランプリ・エルメス」は、高さ1.60メートルの障害で速さを競う最高難度の競技だ。見事に25年のグランプリ・エルメスを制したのは、エルメスのパートナー騎手のシモン・デレストル。18年、19年と2年連続でこのタイトルを手中にして以来、3度目の優勝となった。

大会中は、パリ中から乗馬ファンや家族連れが来場。会場内にはポニー、VRカメラを装着してペガサスの背で宙を舞うバーチャル体験、鞍制作の実演、書店にバグショップも登場。閉館前には毎夜バルタバス率いるヴェルサイユ乗馬アカデミーによるスペクタクルも行われ、馬を愛する人々の祭典となった。
エルメス ジャポン TEL:03-3569 3300 www.hermes.com