歌舞伎役者・尾上右近が、シャツをオーダーメイドする理由

  • 写真:加藤佳男
  • 文:力石恒元(S/T/D/Y)
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いま注目を集める4人に、お気に入りのシャツを披露してもらった。今回は、歌舞伎役者の尾上右近。シャツをオーダーメイドしたことで気付いた、幼少の頃からの“ある感覚”とは?

重たいコートを脱ぎ去る季節がやってきた。今特集では、老舗ブランドの新作から最旬シャツカタログまで、さまざまな視点からシャツを紐解く。無限の可能性を秘めるシャツの楽しさを、存分にお届けする。朝、目を覚まして春を感じたら、シャツを主役に出掛けよう。

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尾上右近(おのうえ・うこん)●歌舞伎役者。1992年、東京都生まれ。2005年1月新橋演舞場『人情噺文七元結』の長兵衛娘お久役などで、二代目尾上右近を襲名。4/3〜25に歌舞伎座 松竹創業百三十周年「四月大歌舞伎」新歌舞伎十八番の内『春興鏡獅子』出演。

レオガのオーダーメイドシャツ

「シャツは歌舞伎役者にとっては大切な仕事着なんです。舞台の初日や千穐楽を迎える時、歌舞伎を観に行く時など、スーツを着る機会が多いので」と語る尾上右近。スーツは長年着用していたが、テーラーである小笠原公平のブランド、レオガのオーダーメイドシャツを着たことを機に、服に求める価値を再確認したと言う。

「幼い頃から、稽古で着る和服も舞台に上がる際の衣裳も、自分の身体に合ったものをつくってもらっています。それは見た目や身だしなみはもちろんですが、着心地に少しでも違和感があると、自身の表現における最後の部分で大きな違いが出てしまうから。それはシャツも同じ」

既製品を着ていた時は、不要なシワやたるみが出ないよう、変に胸を張ったり気を遣ったり、取り繕う感じがしていた。自分に合うものを見つけてからは、そのまま自分らしくいられる。

「フィット感の重要性を洋服で知らなかっただけで、実はそんな本質を身体では幼少の頃から知っていたんだ、と気付くことができました」

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締まって見えるという理由から、色はスーツとともにいつも黒を選ぶ。「繊細な生地で仕立てたスーツに、自然な光沢のあるシャツを合わせます。上品さを保ちながら、襟先を丸くしてやわらかい印象にしているんです」

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