ビームスジャパンの鈴木修司です。今月の旅の舞台は、福島県の沿岸部である“浜通り”と呼ばれる地域です。浜通りは東日本大震災による津波と原発事故の被害がとくに大きく、未だ解決されていない問題も多く、復興の途中にあります。長年、日本全国を廻っている私ですが、実は浜通りへの訪問は震災後でしかなく、この7年間のことです。様々の立場の方から話を聞き、いろんな場所を見て、私が訪れてからも着実と復興が進んでいるのを感じます。今後も復興が進むこと、明るい話題が増えていくことを期待しつつ、これからも定期的に浜通りを訪れたいなと思っています。
つい先月に“浜通り”を北から南まで縦断する機会があったのですが、今回はその時に経験した“福島の海”の魅力を紹介させてください。あまり知られてないのですが、福島県の沖合は親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかる“潮目の海”と呼ばれる場所で、そこに豊富なプランクトンが生まれ、沢山の魚が集まる日本屈指の漁場なのです。“常磐もの”と呼ばれる美味しい魚の代名詞として、古くから一部の方には知られていました。
1. まずはアオサが名物の「松川浦」へ

まず私が伺ったのは、福島県でも宮城県よりの相馬市にある“松川浦”です。松川浦はかなりの広さの内海ですが、なんと言っても“アオサ”が名物。私もここのアオサの大ファンで、今では食卓に欠かせないものとなっています。もちろん内海だけでなく外海の幸も豊富で、松川浦の漁港は東北屈指の水揚げと魚種の豊富さで知られています。
2. 海の幸を堪能する「齋春商店」と「たこ八」
地元で人気の“齋春商店”さんで頂く“復興丼”と呼ばれるなんとも豪華な海鮮丼は、かなりの美味しさと満足度です。目利きのご主人が、地元だけでなく日本全国の魚介を吟味した上で食材を集め、何度食べても感動します。ちなみにこの日は、アワビ、ホッキ貝、ウニ、イクラ、マグロ、サワラ、ぼたん海老など、この上ない組み合わせでした。
もうひとつ松川浦でのオススメは、“たこ八”さんの“ホッキ飯”。立派なホッキ貝で炊き込まれた味付けご飯が、これまた感動級の美味しさです。大袈裟でなく復興丼もしくはホッキ飯を食べるだけでもこの地を訪れる価値ありです。
そして、“福とら”とネーミングされたブランド“ふぐ”も紹介させてください。昔であれば珍しい福島の“天然とらふぐ”ですが、気候変化の影響で漁獲高が上がっており、今もっとも熱い名産品となっています。私も食べてみましたが、期待通りの美味さで(ここでもまた感動)、またひとつ訪れる目的が増えてしまいました
3. 復興に力を注ぐ「請戸漁港」
次に向かったのは、浪江町の“請戸漁港”です。震災遺構になった“請戸小学校”のほど近くにあるのですが、遠くに見えていた堤防が漁港に近づくにつれてみるみると高くなってきます。漁業関係者の方の話も聞いたのですが、漁業規模としては震災前から減ったものの、地元で関わる方々の粘り強い努力、そして全国からのお客様のお陰で、徐々に再開されているそうです。漁港近くに加工場と直売所を構える“柴栄水産”さんで“乾燥しらす”を頂いたのですが、これがまた美味いのです。丁寧に仕上げられており、鮮度と品質はかなりのものでした。
4. 活気あふれる「四倉漁港」と「小名浜魚市場」

ずっと南下して、いわき市の“四倉漁港”に向かいます。ここではタイミング良く“せり”を見学させて頂き、“常磐もの”の名物である立派なカレイを見つけることも出来ました。
そこから同じいわき市内の“小名浜魚市場”を訪問しましたが、こちらは一般客向けの市場で、なんとも楽しい場所です。常磐ものを中心に周辺の新鮮な魚介を購入でき、その場で食べることもできますし、誰と来ても間違いなく楽しめると思います。
5.浜通りで外せない「メヒカリの唐揚げ」
余談ですが、常磐ものと言えば“アンコウ”が有名ですが、私がまず思い浮かべるのは“メヒカリ”。浜通りだけでなく福島県に行って、メニューにあるならば絶対に外さないのが“メヒカリの唐揚げ”です。福島の地酒との相性抜群で、深海魚ならではの脂が乗った旨みが堪りません。
おまけ・福島の魅力を集めた特設サイト!
最後に私の長く関わらせて頂いている福島県のプロジェクトの紹介ですが、この6年ほど“ふくしまものまっぷ”という名で福島の魅力を継続的に発信しております。福島県内の“もの(名産品)”を通して、作られている人や地域、そして文化や歴史までを紹介するのですが、これまで(第1弾から第50弾)の集大成を特設ウェブサイトでまとめてご覧になって頂けます。“浜通り”だけでなく福島県の様々な場所、“福島の海”も含めて沢山の貴重な情報が盛り沢山なので、お時間ある時にぜひぜひご覧になって頂ければと思います。
BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター鈴木修司が日本の魅力を紹介!
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BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。