ゴミのエベレスト?インドの埋め立て地に出来た、“世界一高いゴミの山”が酷すぎる…

  • 文:山川真智子
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Ton Ponchai/shutterstock※画像はイメージです。

インドのデリー東部地区ガジプール郊外にある埋め立て地には、日々大量のゴミが運びこまれ、世界最大級のゴミ捨て場となっている。実は20年以上前に最大容量に達して閉鎖されるはずだったが、その後もゴミの搬入は続き、小山に成長してしまった。近隣住民への深刻な健康被害も確認されているが、ゴミの山は大きくなるばかりだ。

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すでに容量超過… 増え続けるゴミが山に

CNNによれば、ガジプール埋め立て地には1日に2300トン以上の廃棄物が運び込まれている。ゴミの山は2023年時点で65メートルに達しており、インドの象徴的な建築物であるタージ・マハルとほぼ同じ高さだという。

埋め立て地の面積は70エーカーほどで、東京ドーム6個分ほどの広さだ。1984年に作られ、廃棄物を20メートルまで収容できるように設計されており、2002年に最大容量に達していた。

ところがそれ以降もゴミが搬入され続けており、今後もさらに増えることが予想されているという。世界の不思議ニュースを伝える、オディティ・セントラルによれば、ガジプール埋め立て地は遠くから見ると自然な丘のように見えるが、近づくと臭いだけでその正体が分かるという。人々はこの場所を、「デリーのゴミ山」「ゴミのエベレスト」などと呼んでいるそうだ。

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もはや人災 各所で問題噴出

山の頂上に立つと、その大きさとともに、人が作り出した災害の深刻さを実感するとスカイニュースは述べる。ゴミから出る悪臭は耐えがたく、呼吸を困難にさせ、口と喉には毒の味が広がるという。埋め立て地の近くで生活する人々のなかには、呼吸器疾患や心臓病、がんなどの病気が見られる。

時には、飽和状態の敷地の一部が崩落することもある。2017年には大量のゴミが崩れ落ち、人や車が押しつぶされた。

衛星データから、この場所がメタン排出のホットスポットであることも明らかになっており、排出量は年間約2万5000トンに達すると推定される。メタンの温室効果は20年間で比較すると、二酸化炭素の約84倍になると言われている。

さらに、廃棄物が分解されるとその内部で化学反応が起こり、温度が上昇する。メタンガスは高温で自己発火するが、夏の暑さに加えプラスチックなどの可燃性の高い廃棄物のおかげで、火災がしばしば発生するという。また、埋め立て地から出る汚れた液体が、地下水や運河の水の汚染を引き起こしている。

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行政の怠慢? 問題解決は遠い…

実は何十年もの間、行政は住民に最新鋭のプラント導入でゴミを焼却し電気に変えると問題解決を約束してきたが、結局何もしなかったと住民は話している。

CNNによれば、ガジプールのようなゴミ山は、インド全土に3000ほどあるという。2019年からインド政府が対策に乗りだし、一部でいくらか改善は見られているというが、抜本的解決には至っていない。

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スカイニュースの映像

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2019年のインドメディアの映像